TLO技術流出監視・セキュリティ技術コンペティション対策




・カテゴリ1 TLOの技術流出を監視・阻止する方法


【TLO使用物登録制度】

TLOを管理する組織を作るという点では他案と似通っているが、
ここでは特にTLOがどこでどのように使用されているかチェックするシステムについて言及する。

TLOを用いて何かを製造する際、その管理組織に申請、登録を行う必要がある。
これを行わずにTLOを用いた場合、それは処罰の対象となりその製造物は破壊、抹消される。

管理組織は登録申請された製造物を、それらが完全に停止もしくは破壊されるまで
絶えずその所在、状態をチェックおかなければならない。
登録物が行方不明になってしまった場合、その調査には最大の労力が払われる事になるだろう。

また、あまりにも危険と感じられたTLOの使用は管理組織が登録を拒否する事ができる。
認可されなかったTLOが既に存在している場合、それらは完全に破壊、もしくは他世界に追放される。

【TLO管理組織監査機構】

TLO管理組織が不正、または正常に機能しない状況を防ぐため、監査機構を作りこれを監視する。
まず、TLO管理組織をそれぞれわんわん帝國側は皇帝、にゃんにゃん共和国側は大統領の管理下に置き、
各藩王が組織を監査、各陣営の首脳に報告することで組織の正常運営をはかる。

【TLO判定について】

我々にはTLOがいかなるものか、その状態を判定する事はかなり難しいし、
むしろ判定できるということはTLOに近づきつつある危険な状態であまり望ましいとは言えない。

そこでTLOに詳しいACEを管理組織の顧問に置き、TLO判定や技術使用の認可についての助言を得る。
TLO判定が可能であると思われるACE候補はTagami、知恵者、ヤガミなど。




・カテゴリ2 セキュリティ技術を高度化させる方法(未成年者・一般人・独立軍部などで開発ができないなど)


【TLO特許制度】

新しい技術を発見、開発した場合、その技術はTLO管理組織で審議される。
それがTLOであると認定されると管理組織に登録され以後は組織に申請、登録しない限り使用は不可能となる。

その技術を発見した人物には莫大な報奨金と特許権(もちろん使用には管理組織への申請が必要)を得る。
以降、管理組織がその技術使用を認可した場合、使用者は特許使用料を払わなくてはならない。

【TLOリミッター】

TLOには様々な種類があるが、そのTLO足らしめている要素を抑制する事で
その恩恵を受けつつ危険を回避できるような技術を開発する、もしくは開発の支援を行う。
もしそのTLOリミッターを開発できた場合、その開発者には管理組織から報奨金が与えられる。
 例:A.I.の暴走を押さえる良心回路の開発、など。

【TLO製品の小型複雑化】

例えば半導体がある時代に真空管を使ってコンピュータを作ろうとする人はまずいない。
そして半導体はそれなりの規模をもった工場でないと作れない。

今回のA.I.ロボットの場合、より複雑な動き、感情、反応速度、外見の精密さなどを追求していくことで
小型化、複雑化が得られ、個人レヴェルでは開発不能な状況になると想定される。

このようにTLO製品をより小型に、より複雑にすることで大規模な工場でないと生産できなくする。
管理組織はそういった工場を監視していればいいので能率はだいぶよくなる。




・カテゴリ3 その他アイディア


【TLOの墓場】

強力な兵器など、可能な限りTLOを一ヶ所に集め、究極墓所としてそれを封印、管理する。
そしてそれが必要な場合のみ持ち出して使用することにする。
持ち出しには大統領や皇帝の許可が必要など、テックレベルに応じて制限を掛ける。
恐らく墓場にはとんでもない脅威や事件が頻発するだろうから全力をもってこれにあたる。

【移民】

こんなTLOばっかり出てくる怖い世界なんか飛び出して新天地を見付ける。
もしくは他の世界への移民を始める。TLOも分散すればそのぶん効果が薄まると考えられる。
逆に言えばすぐにTLOが出て人類の危機が訪れる、ということは
NWのTLOに対する許容量が限界に近くなってきている、ということなのかもしれない。


                                   文責 はっぷん:01-00002-01
























※以降の内容は当初A.I.のTLOリミッター案として作成されたものですが、エンターテイメント性が高いのと
A.I.対策のみだと募集内容にそぐわないぜ! という理由で不採用になりました(涙
でもひょっとしたらA.I.対策もいるかも、と思ったのでここに載せておきます。



   先生と助手(A.I.がTLOだよ! 編)



「先生! 大変です!! 一大事です!!!」
「なんだ、どうかしたの? またテルさんがなにかやった?」
「いやいや違う違う。まぁコレを見てくださいよ」
「……A.I.制御ロボット開発によるTLO技術流出……ねぇ。
 それを防ぐための方策をいろいろと探っているのかぁ。大変だねぇ」
「うわ、超他人事だよこの人……ということで先生はどうすればいいと思います?」
「破棄」
「ちょ、ちょっと待って!」
「えー、それが平和のために一番良いと思うけどなぁ」
「それだと黒曜子ちゃんが可哀想だよこのド畜生! 一回か二回絢爛世界に落ちろ!!」
「うーん、だったら、それぞれのA.I.に個性を持たせればいいんじゃないかな?」
「個性?」
「個人的にはTLOってのはあまりにも強力過ぎたり、無個性なものを指すんじゃないかと思ってる。
 今回の場合は特に無個性であることが大きいと思うんだ。例えばクローンとか、ね」
「確かにA.I.はコピーすることでクローンみたくいくらでも増やせますもんねぇ」
「まぁリューンの流れから言えば強さも個性も同じことなんだけどネ!」
「(また電波じみた話を……)ともあれ、個性化という観点から解決策を探ればいいかもしれないんですね」
「うん。一手間かけて個性を育成していく事ができれば、A.I.のTLO化を押さえられるんじゃないかなぁ」


【1.完全同期システムの禁止】

「一番怖いのは複数のA.I.が完全にリアルタイムで同調する事」
「こうなると個性もへったくれもありませんねぇ」
「個性云々よりもA.I.を同期させるホストをハックされたり、ウィルス感染などされれば
 イチコロという脆弱性の方が怖い。その段階で端末A.I.が全てオシャカだ」
「ホストA.I.自体が人類に敵対するという可能性も考えられますね」
「うん。そこでA.I.のシステムをスタンドアロンタイプにする。
 かといっていまどき完全に独立したシステムなんてアレなので半スタンドアロンぐらいがいいかな」
「半、というと?」
「ホストに同期させるシステムと同期させないシステムにわける、
 主な機能は非同期の方で賄い、同期データの取捨選択もそっちで行う」
「なるほどー」
「簡単に言えば我々がコンピュータ通信の端末からデータを取捨選択するのと同じ。
 これだとホストがいかれてしまってもロボット自体に被害はない(それでもウィルスは怖いけど)」
「独立しているシステムだからA.I.の個性化にもぴったりですね。
 でもうちの国にコンピュータってありましたっけ?」
「技術研究用に貰ったのが数台。でもなぜかやたらフリーズするんだよなぁ」


【2.里親制度によるA.I.の訓練】

「A.I.の訓練についてだが、いわゆる焼付け型の訓練では個性は作られないと思う」
「記憶を直接メモリに焼き付ける……クローンで言う年齢固定型の悲劇ですね」
「よくそんなこと知ってるな。まぁそういうことなので里親を募ってそこで一定の期間の、
 これは長ければ長いほどいいんだろうけど、訓練を経ないと実務にあたれないようにする。
 これだと各々の里親での経験の違いから個性化がはかれる、という寸法だ」
「人との触れ合いも経験できますしね。
 でも里親が悪い人とかだったらA.I.の育成に不都合がありません?」
「人間だって親は選べないよ。それに個性というもの自体に善悪はないだろうし。
 でもなるべくそういうことが起きないように里親の選出には細心の注意を払うべきだね」
「もちろんその後のフォローも、ですね」


【3.命名、及びA.I.の登録制度】

「ロボットだからっててきとーに作っててきとーに使ってたらそりゃ問題も起きるよ」
「じゃあどうすれば?」
「ちゃんとした管理組織を作ってそこに登録することでそのA.I.ロボットの正当性を証明する。
 逆に言うと登録されてないロボットは危険だから気を付けて、ってことになる」
「ちょっと不自由そうで可哀想ですねぇ、将来野良ロボットとかも出てくるんでしょうか」
「そういう不幸なロボットを作ってしまうのも、使う側である人間のせいだからなぁ。
 でも管理がしっかりできていればちゃんと回収されて新しい生活を送れるようになるんじゃないかな」
「それと名前って?」
「まぁそういうのも個性かと思って。例えば里親の苗字(セカンドネーム)を彼らに与えてあげる、
 かすか先生が黒曜子ちゃんの里親ならば名前は“かす黒曜子”になる」
「かすかさんの苗字って“かす”!? じゃあ“か”がファーストネーム!!?」
「まぁそれは本人に聞いてくれ。ともあれみーんな名前が“黒曜子”ちゃんだったりすると、
 彼女のA.I.が『自分は黒曜子のうちの一人に過ぎないんだ』、って認識してしまう。
 それよりも『自分はかす黒曜子で皆とは別の存在なんだ』って考えてくれた方がいいと思うんだ」
「まぁかす黒曜子はダサいですけどね」
「里親の苗字はあくまで一案だから……。そうだ、苗字と名前の間に“R”を入れるのもいいよね!」
「また古いネタを……」


【4.外見のカスタマイズ機能】

「外見のカスタマイズ、これも個性化の一環だねぇ」
「外見が変わると見られ方も変わる、接し方も変わる、そしてA.I.の成長も変わるわけですね」
「人間でも同じ制服を着ていると他人から似たような接し方をされるでしょ? その逆。
 生産効率を高めるためにはやっぱり似たような外見になっちゃうので。そこで一手間、ってこと」
「黒髪ばいんばいんの黒曜子ちゃんだけじゃなくなっちゃうんですねぇ」
「それを受け入れてあげるのが個性を認めるってことだと思うよ?」


【5.感情機能の強化】

「感情機能、人間の道具であるロボットには本来こんな機能はいらないはずなんだ」
「じゃあどうしてこんな機能を強化する必要があるんですか?」
「もちろんTLOを押さえるため、個性を作っていくためだよ。
 無感情も一つの個性だと言えるけど、それ一択じゃほとんど無個性だよね?
 怒りっぽかったり、泣き虫だったり、ニコニコしていたり、それこそ照れ屋だったり」
「でも感情ってトラブルの種にもなったりしますよね?」
「そこが最初に言ったこんな機能は要らないってこと。
 でも“人間と仲良くしたい”っていうのもやっぱり感情なんだよ。
 感情機能は政府が援助金を出してでも強化していかないといけないんじゃないかなぁ」


【6.データコピー規制】

「いくら色んな方法を用いて個性化をはかってもコピーをどんどん作ってしまうと意味が無い」
「そこで技術的に、そして法的にコピーを規制するんですね」
「禁止、にしてしまってもいいような気はするけど。人間には元々バックアップなんてないわけだし
 (だが実はクローン技術のせいでそうとも言えなくなっている)。
 でもそれだとあまりにもA.I.の長所を殺してしまう。この辺りはどんどん議論されていいと思う」
「少なくともコピーの濫用はダメってことですね」
「海賊版は買っちゃダメだぞ!」


【7.ロボット三原則の適用】

「ええと、
 1.ロボットは人に危害を加えてもいけないし人が危険に陥っているのを放っておいてもいけない。
 2.ロボットは人間の命令に従わなくてはいけない。
 3.ロボットは自分の身を守らなくてはならない……でしたっけ?」
「2や3はそれ以前の原則に違反しない限り、っていう但し書きがつくけれども。
 とある有名な神話にある伝説の3つの決まり事だ」
「でもこれだと軍事利用はできませんよね?」
「うん、その場合1は改竄されるだろうと思う。それにこの原則はいろいろと矛盾を内包していたりする。
 例えば誰かが人を殺そうとする、そしてそれを防ぐにはその人を殺さなければならない、とか」
「だったらこの原則を採用するはあまり良くないんじゃ?」
「まぁそもそもが人間>ロボットとする考え方だからな。個人的には好きじゃない。
 でもこれからどうあってもA.I.ロボットは増加していくだろうし、
 当面の問題を解決するにはこれを使うのが一番なんじゃないかと思う」
「伝説で言えば自分はかの“ゴージャスタイムズ”の方が好きですね」
「“知類皆兄弟”、そんな時代が来てロボットもこんな法則に囚われずに済むようになるといいな」


【まとめ】

「っていうか」
「ん?」
「いろいろ話を聞きましたが、これって『TLOを防ぐにはA.I.の個性化が必要』、
 っていう仮説が証明されないと無駄なんじゃね?」
「なにィ!!」
「だってそうじゃないですかーこれで個性とか関係なかったらどーすんですかー」
「やれやれ……、まぁこういう考え方もできるよ。ホント、TLOTLOって言ってるけどマイ仮説と同様に
 結局それがなんで人類に災いをもたらすのか実はあまりよく判ってない。
 一番判ってるのは“機械化戦争が起こって人類が滅びる”かも、ということだけだ」
「それで?」
「一番怖いのは機械の反乱。この時ロボット達のA.I.が全て同期していたらどうなるか?
 あっさり機械vs人類の構図ができあがってしまうだろう。
 でもロボット達が皆独立して各々の考えを持っていれば簡単にはそんな構図にならない」
「確かに『人間と戦争なんてしたくない!』っていうロボットも出てくると思います」
「次に怖いのがロボット同士の代理戦争だ。人間の代わりにロボットを投入する。
 そうなると泥沼だ、お互い量産に次ぐ量産でロボットの数は人間の数万倍に広がるだろう。
 こうなったら人類っていないのと同じだと思うし、戦争の激化で本当に滅ぶ可能性も高い」
「A.I.の育成や管理に手間取れば量産にも限界がある。しかしそれを無視すれば管理側が察知する、と。
 むしろ逆にそういうことをする輩がいればきな臭い、注意ってことですか」
「そうそう、ロボットは戦争の道具じゃない、戦友であるべきだと自分は思うよ。あとは……」
「あとは?」
「人類がみんな機械化してしまう事、かな?」
「ああ、なるほど。それだと人類滅んだも同然ですよねぇ」
「人類が望んでそうなったのなら別に構わないけど。
 でもそうなったらやっぱりA.I.に個性があった方がいいんじゃない?」
「そうかもしれませんねぇ」
「つーことでこの話はここまでにしよう。第6世界群での戦闘シミュレーションをせんとならんのよ」
「はぁ……(また電波でも受信したっぽいなぁ)」
「で、賞金は貰ったら国庫に入れといてくりゃはい」
「えー、またですかー。たまにはこっちで使わせてもらいましょうよぅ。
 この机だってもうだいぶガタガタですし……っていうか参加賞のトコまで読んでるとは、めざとい」
「まぁ君の考えはだいたいわかるから。ただで人助けなんてなかなかできないよねー、くっくっく」


                                   文責 はっぷん:01-00002-01













































































【おまけ】

「にゃはは♪ にゃはは♪」
「あれ? どうしたのアルフォンス?」

 声を掛けたのは我等がるしにゃん国の藩王その人である。
そしてその目線の先には銀の髪をしたネコ(女の子?)がなにやら地面に寝そべってごそごそやっている。

「ん? 何か書いてるの?」

 このネコっぽいがネコではない少女、彼女は藩王るしふぁが飼っている猫士である。つまりは王猫、だ。
姿形は人間の少女とほとんど変わらないらしい。そしてそれ故にいろいろと大変らしい。いろいろと。
まぁ、そんな王猫アルフォンスは手にB5の鉛筆を持ち、地面に敷いたわら半紙になにやら書いている、が。

「どれどれ……」

 るしふぁが覗いてみるとそこには可愛い文字で、


【にゃはは♪】

 にゃはは♪ にゃはは♪ にゃはは♪ にゃはは♪
 にゃはは♪ にゃはは♪ にゃはは♪

 にゃはは♪ にゃはは♪

 にゃはは♪ にゃはは♪


【にゃはは♪ にゃはは♪】

 にゃはは♪ にゃはは♪ にゃはは♪

 にゃはは♪ にゃはは♪
 にゃはは♪ にゃはは♪ にゃはは♪

 と書かれてあった。

「読めない……」

 実はアルフォンス様、「にゃはは♪」としか話すことができない(♪含む)。もちろん書くのもそうだったりする。
しかしまぁ、そこは我等が藩王、付き合いの長いこともあって彼女と意思の疎通が可能となっている。考えてみるとすげえな。

「にゃはは♪」
「え? A.I.システム構築のセキュリィティモデルと多層モジュール化による……なんだって?」
「にゃはは♪」
「TLOの分散によるヤオトの……ヤオトってかすかさん?」
「にゃはは♪ にゃはは♪ にゃはは♪」
「あーもう、難しい事言われてもわからないよ!! それよりクレールさんがクッキー焼いてくれたから食べに行こう?」

 銀の猫耳がピクっと動いた。

「にゃはは♪」
「よーし、それじゃ王宮まで競争だ!」

 そう言って王宮に向かって猛ダッシュするるしふぁ。これが若さか。むしろお前病み上がりだろう。
そしてそれを追うアルフォンス。そうやって王宮の庭を仲良く駆け回る姿は本当の兄妹のようにも見えた。






 その後には、