るしにゃん冒険記 その3



 冒険の心得:最後まで諦めるな!諦めたらそこで終わりだ!

 屋根に登って街を見渡してみると自然の溢れる街の一角とは思えない場所が見える。
かつて、一時の住処としていた『冬の京』を焼き払ったオズルの爪痕がここにもあった。
 『絶望の荒野』とこの街の国民はそう呼んでいるそうだ。
確かに、俺の目から見てもここが自然溢れるるしにゃん王国の国土とは思えなかった。
本来だと『風を追うもの』しか入れないようだが無理を言ってこの地域の立ち入りを許可してもらった。

 近くで『絶望の荒野』をみると名前の理由がよくわかった。
確かに、植生に覆われた土地が一瞬にして不毛地、砂漠になってしまえば絶望もするだろうと思った。
ただ、るしにゃんの国民は負けてはいなかった。
この異常現象を調査する一方で砂漠緑化プロジェクトを進めていた。
 正直、幾年の根気よく続けないといけないだろうが『るしにゃん王国』の国民はいつかこの土地が緑に覆われるであろうと事を夢見てこの『絶望の荒野』と戦っていくのだろう。
多分、俺が生きているうちにこの土地が昔のような緑に覆われた美しい土地に戻ることはないだろう。
しかし、俺の目の前にはその光景がなんとなく見える気がする。