0.企画書を提出する前に
特定の個人を非難する目的ではなく1つの事実として、
るしにゃん王国は禁断の技術に手を染め、世界を滅ぼしそうになった人物を世に送り出してしまいました。
しかしこのことは当人だけでなく、我々もまたこの事実を重く受け止め、技術が限界を超えることに対して慎重になり、
その対策を幾重にも考え、またそのいくつかを実行に移してきました。
今回のTLOが拡散する事態に対して、我々の考えてきたことを世間に公開し、
もしもそれが世界の滅びを食い止めることができるほどのものであったならば、それ以上の罪滅ぼしはないと思い、この筆をとる次第です。
1.序文
TLOの発生する本質は、人間の飽くなき向上心と好奇心であり、
これを放棄するということはヒトという種の存在自体を放棄することにほかなりません。
そして、この本質だけがTLOを生み出すものではありません。
向上心や好奇心がある上で、それを現実のものとする手段があるからこそ、TLOは世に送り出され続けるのです。
また、TLOという存在そのものが曖昧でありつづけたこともこれらに一役買っていることでしょう。
たとえるなら、飢えた旅人がその空腹を満たすために見境なく食べ物を食べ続ければ、いつかはその身体を破裂させて死ぬか、見分けられなかった毒の食べ物にあたって死んでしまうようなものです。
我々がするべきことは、この空腹を耐えて餓死をまつことではありません。
数多の食べ物の中から毒の食べ物を見分ける知識を得ること。
戸棚を作って毒と無毒とを分け、むやみに食い散らかすことのないよう鍵をかけること。
節度ある食べ方によって棚の食べ物がなくなることを先送りし、毒に手をださないように生きることなのではないでしょうか。
2.目的
法官の協力のもと星見司処の1部署として、アイドレス上に存在する技術を収集・管理する
「技術管理局」を設立し、TLO技術の発生・濫用・拡散を抑止する。
またそれに併せて星見司主導による探求のもとTLOの明確化を行い、事故的なTLOの発生を防止する。
3.経緯
序文で例の形であげたとおり、TLOの拡散を防ぐ方法は以下の3つとなります。
A・TLOに頼らない生き方を見出すことによってTLOの存在そのものを不要な世界にすること。
B・新技術がTLOとなってしまう境界線を明確化することで、事故的なTLOの発生を抑止すること。
C・技術の発明や行使を管理する機構を設立することで、TLOの発生・濫用・拡散を抑止すること。
以上3つの方法を実行すれば、TLOによる世界の滅びは抑えることができると、我々は考えます。
しかし、Aについては一部の決戦兵器としてTLOは必要であるなど、僅かな毒は薬となるように、TLOの存在自体を否定することはできません。
(もちろん普段の生活にTLOが不要となる生き方を模索する行為は不断の努力として求められるものであることは言うまでもありません。)
よって、BとCの方法によってTLOを抑制していくしかないのですが、
そのためには「発明側の意向に偏ることのない公正な判断」と「技術を理解するための深い知識」が必要です。
これら二つの条件を満たすもの、特に後者を満たすものとして既に存在しているのが、星見司処であると、我々は考えました。
現在の星見司処は、法官をはじめとする他の3種の公共職と異なってその職務は至って少ない状況にあり、
ナンバリングイベントではイベント99より何もなく、軍事支援では一部の有志によってFVBへの偵察行為を行ったのが最後であると記憶しています。
さらにかつて二度にわたる世界全体を巻き込む大事件の主犯が星見司であった事実から、星見司の立場は非常に危ういものになっているのではないでしょうか。
星見司が偵察行為や謎を解くだけでない新しい職務として、
星見司の復権と罪滅ぼしを含む社会貢献として、
星見司の知識を集め、世界の謎を解き明かすという本質を全うするものとして。
星見司処がTLO対策の最前線としてたつことは二重三重に世界へいい影響を表すのではないかと、考えます。
4.具体的な職務
4−A.アイドレス全体に対する職務
技術管理局の職務は、TLOの拡散を防ぐ3つの方法のうち
B・新技術がTLOとなってしまう境界線を明確化することで、事故的なTLOの発生を抑止すること。
C・技術の発明や行使を管理する機構を設立することで、TLOの発生・濫用・拡散を抑止すること。
を担うことになります。その職務は大きく分けて4つ。
第一。TLOとはどのようなもので、拡散がどのように世界の滅びをもたらすのか、その仕組みを明らかにして全国への周知を行うこと。
これによって国民一人ひとりの危機意識を喚起し、これ以上のTLOの乱開発をまず極限します。
世界の謎に詳しい星見司が説明を行うことが説得性を上げる一員にもなるでしょう。
これは今なによりもまず行うべきことで、今どのようなTLOが世界にあるのかを知ることよりもまず始めに徹底されるべきです。
またT13開始時の危機的状況を脱した後も継続的に行うことで、防災意識を高めていくことも重要でしょう。
第二。今ニューワールドに存在するすべての技術を差別なく収集し、記録・管理すること。
申請や調査などによって管理局に集められた技術の情報は発明者や技術を利用している組織などの履歴・普及情報と
技術の種別とそのレベルなどの技術情報の二つによって大別され、ライブラリにてランク別に管理されます。
新技術の開発や既存技術の転用が行われる際はこれを管理局に申請してライブラリを更新します。
これによって技術の拡散状況や技術の高度化を常に監視し、その状態に応じて管理局から該当組織への警告を発信していきます。
第三。技術の取り扱い資格制度を設立し、運営していくこと。
技術の危険性を知らぬものが無用心に技術に手を触れることがないよう、各技術の取り扱いに級数による資格制度を設けます。
級数の高さと取り扱える技術の高さを対応させ、各技術系統ごとに異なる資格を、また特殊な技術に対しては級数を必要条件とした特別資格を設定します。
これによって技術を扱うに足る知識と理性を育成し、技術の濫用とTLOが拡散する事態を抑止します。
第四。技術を法的な手段によって保護すること。
第二の職務によって収集される技術情報ですが、これを管理する星見司が盗用・悪用することのないよう、内部監査機関と、法官による法的な拘束を設けます。
あくまでも技術管理局は技術の高度化とその拡散によって発生する諸問題を未然に防ぐことが目的であり、その目的を見失うことがないようにするためです。
また技術の収集段階において、技術の公開レベルを技術所有者が決定することができるシステムを作ります。
これは利用組織などのプライバシー情報から技術の詳細に至るまでの全情報に適用され、
公開レベルを最高に設定した場合には、収集された事実自体からその管理情報の一切を一部の高位星見司のみが取り扱えるものと設定されます。
ただし、警告が必要であったり、それ以上に深刻な状況にある場合には必須情報のみが公開されることだけは了承していただく必要があります。
そして、対外的なものとして、法的措置を執り行える制度を法官と連携して制定します。
ある技術の拡散などが深刻な状況にあり、かつ警告が聞き入れられなかった場合や、技術者が資格の範囲外の技術を取り扱ったときなどになど。
罰金や資格剥奪、技術の利用停止に始まる各種罰則の制定を法官と共同で行い、管理局運営によるTLO抑止力を実体のあるものとして実現させるためのものです。
4−B.第七世界人(アイドレスプレイヤー)に対する職務
#この章は、組織の設定などに関係ないアイドレスプレイヤー向けに書かれたものです。
#技術管理局の設立と併せて運用することを想定して記述していますが、
#本企画の運用に沿わない、以下の章にて提案する企画が現実的でないなどの場合には、
#この提出物とは関係のないものとして取り扱っていただけると、幸いです。
第七世界人(アイドレスプレイヤー)は、マイルやイグドラシルのアイドレス枠を使用することで、
「アイドレス」という形で技術を生み出します。
この「アイドレス」は開示された要点に沿う限り、(時には要点もない完全な)無限の自由度を持ちます。
これは当然、間違いなくゲームとしてのアイドレスの楽しみのひとつでもあるのですが、
それと同時に非常に危険な状態になりうるということは、今回の一件までで既に皆さんお分かりのことと思います。
特に、藩国全体で利用するアイドレスでは、その作成目的が藩国全体で共有する「一般化」であることが、拡散現象に大きく関わっているのです。
この危険に対して、現在は各個人が作成するアイドレスがTLOにならないよう気をつけるという対策しかとられておらず、
これこそが今回の問題発生に対して最も近い原因であるといえるのではないでしょうか。
考えてもみてください。クロスチェックなどに不備があり、間違った内容があるままの記事や編成の使用が、
どれほど大きな罰金となってアイドレス経済を潤し、各国を困窮させていることか。
これと同じことが、アイドレスの背景となっている設定にも起きているのです。
そこで、「アイドレスプレイヤーの技術管理局」として、作成アイドレスの設定をチェックするシステムを、
設定のプロである星見司処の一部として設立します。
具体的にはクオリティチェックの前の星見司によるテックレベルチェックとして、提出予定のアイドレスに何か危険な要素がないか、判断を行います。
このチェックは複数人で行い、各人がレポートという形で「問題ない・危険かもしれない・とても危険である」の3段階判断を下します。
レポートをチェック結果として公示していくことでTLO判定を下されるアイドレスを世に送り出すことを抑制していくという段取りをとります。
なお、この企画は、提出したアイドレスが危険であるからとクオリティチェックに出してはいけない、という遮断機構を取り付けるものではありません。
前述のように、世界にTLOがいくつかあることは状況によって求められることでもあるからです。
あくまでもアイドレス作成者の権利を保障しつつ、その道が安全か危険かを判ずる手助けをするためのシステムとして、動かすものです。
5.TLOの認識に対する注記
最後に、TLOの認識に対する注記を述べ、本企画書の締めといたします。
TLOが毒として世界を滅ぼすのは、TLOである技術が一般化され、世界に普及してしまったときです。
どこかの個人や組織が、その個性、あるいは切り札としてTLOを保有していても、そこに問題は発生しません。
たとえば、オーマや人は絶技を持ちます。ある絶技を誰でも使えるように技術化し、兵器として世に送り出してしまったら、
それは世界を滅ぼすTLOとして、かの大災害をひきおこしたものを、本来よりも早く呼び覚ますことになるでしょう。
ですが、彼らが個人で絶技を持つ限りには何も起こりません。
絶技が、彼ら個人の個性として存在している限り、それがすぐにあの災いを呼び起こすことにはならないのです。
TLOを汚物のように差別し、全てを排除しようと意気込む意思を否定はしませんが、
3.で述べた「僅かな毒は薬となる」ことはたとえでもない事実であるということを、忘れないでください。