* * るしにゃんガイド・食糧生産編 * *

1.食糧生産編−目次

1.目次

2.るしにゃんの食糧生産業の概要

3.地図で見るるしにゃんの生産業

4.穀物生産地・・ 黄金の麦畑エルフの水田

5.二つの果樹園・・ りんご園またたび園

6.農耕風景・・ 豆類 や 野菜の生産

7.森のめぐみ・・ 植物の余すところのない利用

8.水のめぐみ・・ 南東の湖地底湖の秘密

9.編集後記



2.るしにゃんの食糧生産業の概要  



  るしにゃん王国は広大な森林を中心とする
 豊かな生態系を形成する森国人の国であり、
 国土の多くは森に覆われています。
 ですがその森の中に住む動物を狩ることはありません。
 森国人も森の動物も、同じ森にすむ一員だからです。
 彼らが狩りをするときは、
 森林と森国人の営みが脅かされるときだけなのでしょう。


  そんな森国人ですが、
 その食生活は他国とそう変わりありません。
 ただ畜産業や狩猟による食肉が少なく、その代わりに
 森の管理技術から発展した農業が盛んになっています。


  そのるしにゃん王国の農業は、
 主に森を抜けた平地でのみ行われています。


 これは森国人として森を傷つけるのを好まないだけでなく、
 必要以上に森を切り拓き開墾することが
 国法で禁じられているからです。
 あえて法に記しているのは、森に特別な感情を持たない
 森国人以外の民が住む可能性を考慮しているのでしょう。


  必要以上の開墾を禁じているとはいえ,
 広大な森林を育むだけの豊かな土壌を保有する
 るしにゃん王国の食料自給率は120%を越えています。
 その余剰の食料は共和国有数の穀倉地帯として、
 FEGなどの西国人をはじめとする様々な国家へ輸出され,
 また一部は有事に備えて保管され、
 その新たな利用法が日夜研究されているのです。


  では、そんなるしにゃん王国の食料生産業について
 次のページから紹介していきたいと思います。




3.地図で見るるしにゃんの生産業
気候風土に合った生産地

この地図は王国の中心地ですが、それでもこれだけの広大な森林が広がっています。
我々はその中で自然に害を及ぼさないように、平地の一部を開墾して人々が食べる食料を生産しております。
またそれだけでなく豊かな自然も天然の食糧生産地であり,我々はその恵みも享受しているため、
その食生活もまた非常に豊かだといえるでしょう。

しかし,土や森に全てを頼り受け取るばかりではやがては全てが衰退してしまいます。
ですからるしにゃん王国では豊かな自然に奢り自らの欲ばかりに走らず,
我々もまた自然の一員であることを強く認識した共存共栄が目指されているのです。



4.穀物生産地 〜黄金の麦畑〜
中央北東部 政庁の南 大河のすぐそば

<刈り入れを待つ小麦>


<麦畑とパンを作る猫士達>
○るしにゃんの麦
るしにゃん王国の主食の一つは国土中央の小麦畑で採れる小麦を主原料とするパンであり、長年に渡って研究されてきた製パン技術は芸術の粋に到達していると言われるほどです。

森国人に伝承される技術はただのパンを魔法のパンに変える。
極少量で満腹感を得られ、一口食べれば千里を走り、その味は一度食べたら他のパンは食べられなくなる・・・。
もちろん実際にそうなるわけではなく、門外不出の秘伝技法で作られるパンはそうコマーシャルを出しても美食家が怒らないほど、味が評価されているのです。

さて、国を東西に分断するように流れるアルフォンス河には巨大な水車が設置されており、これを利用して小麦は製粉されます。
これに隣接して小麦粉の保管倉庫とパン工場が併設され、ここで年中美味しいパンが製造されています。

さらに工場では森国人に混じって猫士達も働く姿が身うけられます。
これは近年開発された「またたびパン」によるところが大きいといえるでしょう。
猫まっしぐらなまたたびの粉を小麦粉と混ぜ合わせることで作られた、より栄養バランスのとれた健康食として、また猫を魅惑するまたたびの食べ方の1つとして、猫士達の心を掴んだようです。
自分が食べて美味しいものは、他の仲間達にも食べさせてあげたいという、なんとも心温まる光景ですね。



4.穀物生産地 〜エルフの水田〜
中央北東部 政庁の南 大河のすぐそば

<エルフの水田>


<対岸から見る田園風景>
○アイガモ農法による稲作
るしにゃん王国では、世界の主食として小麦と双璧をなす米の生産も盛んに行われています。
王国での稲作の起源もまた古く、森国人として水車が建設された頃と同じと言われており、それだけの長い歴史の間を伝えられてきた稲達は種としても洗練されています。

生育される多くの品種は温度変化と水不足に弱く、南国,西国,北国の自然環境では育成に向きません。
病害に対する耐性は平均的で、これらのデメリットと引き換えに、とれる米は非常に栄養価が豊富で、味も申し分ないものです。
また、害虫駆除及び無農薬の農法としてアイガモ農法が取り入れられています。
雑草や害虫はアイガモがこやしに変え、水田内での遊泳が稲への酸素供給を助け、くちばしでつつく行為が株張りのいい丈夫な稲を育てているのです。

こうして得られたお米は炊きたてのごはんや餅,米粉による麺やパンなどになっています。
また、害虫駆除として育成されたアイガモ達はそのまま育成を続けることはできません。
アイガモ達の殆どは脂が乗った美味しい鴨肉として、共に稲を育ててくれた感謝と共に人々の食卓を賑わすのです…。



5.二つの果樹園・・ りんご園
穀物生産地の対岸

<るしにゃんのリンゴの木>


<名産品が生る果樹園>
○林檎園
リンゴは「1日1個のリンゴは医者を遠ざける」といわれるほど栄養バランスがとれている,るしにゃん王国で生産される代表的な果実です。

というのもなだらかな渓谷の形の地形を持つるしにゃん王国は比較的周りの山々による日光の遮蔽がないため、リンゴの赤色を出すために重要な日照面で地形的にりんごの栽培に適しているのです。
またそれだけでなく,森国という植物の生育に適した環境でもあることや,森国人の特徴を発揮したきめ細かな世話が
非常に品質の高いリンゴの生産を可能にしており,リンゴ好きの中にはその色だけでるしにゃん王国産であることを見分ける達人もいるといわれるほどです。

その品質の高さを示しているのが,王国の代表的な栽培方法である無袋栽培です。
リンゴは日差しを浴びるほどに糖度が増し,特有の赤い色が鮮やかになる傾向にありますが,見栄えが悪く,また害虫の被害が発生しやすくなります。
そのため見栄えを重視して栽培される場合には生育する果実に袋を被せる有袋栽培が行われていますが,るしにゃん王国産のリンゴは袋を被せない無袋栽培であるにもかかわらず,その見た目は他国の有袋栽培のリンゴに負けず劣らぬものなのです。

収穫期の果樹園では生い茂る葉の影にたわわに実ったりんごが赤く輝いて見えます。これも無袋栽培ゆえに見ることができる光景であり,十分に日光が当たっている証明ですね。
緑のレースにルビーをちりばめたようと大仰しく形容する方も中にはおります,一度ごらんになってみてはいかがでしょうか。



5.二つの果樹園・・ またたび園
穀物生産地の対岸

<またたび園と大好物を見張る猫>
○またたび農園
猫好きの人なら誰でも知っている「またたび」。それは猫科の生き物を惑わす魔性の植物です。
ですが、またたびの持つ力は猫を魅了するばかりではありません。

またたびは地方によっては加工されたまたたびが薬として処方されることがあるほど人体に強く働きかける力を持っており、
長旅より帰った旅人が、これを食べるだけで再び旅に出られるほどの活力を与えるから「またたび」というのだという話があるくらいです。

このまたたびは建国前よりこの地に自生していたようで、古い民謡の中にまたたびの名が現れるほどです。
るしにゃん王国では長年の自然交配による品種改良の結果、いくつかの特性が高められた数種類のまたたびを果樹園にて大規模に栽培しています。

食用のものとして甘く肥大化したキウイ型の種、猫に対して非常に高い効果を持つもの、薬効をより高めて凝縮した小型のものなどなど・・。
農園を訪れれば、いろいろなまたたびを試食させてくれる体験コーナーもあるそうです。
ねずみとりの報酬でとろけた猫のそばで、
あなたも一息ついてみませんか?



6.農耕風景・・ 豆類 や 野菜の生産
休耕している穀物生産地などで

<水田の休耕地で育つ大根。おろしても煮付けても美味。>
○豆類と野菜の生産
るしにゃん王国の食生活における蛋白源は湖からとれる水産物が中心です。
しかし,その方法は漁によるものであるため条件次第では不漁に終わることもあるかもしれません。
もちろんそのために大量時の魚は干物にするなどして保存しているのですが,
それ以外のもう一つの対策として,高たんぱくな豆類や、野菜の栽培が行われています。
これらは休耕している麦畑や水田などを中心に行われており、
特定植物の単一生産による土地の疲弊を避けると共に、空いた農地を有効活用しているのです。

生産された野菜は薬味やつけあわせとして食卓に上がることが多く、
特に非休耕地の山奥でしか生産されない山葵は非常に風味豊かで好まれています。
また豆類は生で食べ過ぎるとお腹を下してしまうため,水産物と異なり加工が必須となっていますが,
そのおかげで水産物よりも広いバリエーションの製品が作られ、国民食として定着しているといえましょう。



7.森のめぐみ・・ 植物の余すところのない利用
国土を覆う森林のいたるところで


<主要な場所にある養蜂箱。ここに王国の蜂蜜が集められている>
○養蜂の営み
草木深く緑濃い地にはそれらがつける花々も数多く,るしにゃん王国では一年を通じて様々な色形を見ることができます。私たちは森と共に歩く森国人として,それらの花々が種をつけるという役目をまっとうできるよう,受粉の手伝いをするために養蜂を行っています。

自然の中にも受粉を助ける生き物はいるため養蜂という手段をとるべきではないのでしょうが,自然の存在ではない植物園周辺や王宮にある庭園,果樹園などでは自然の生き物だけで受粉を行うのは難しく,
また,自然の生き物の中でも特に蜂と人の領分が重なることによるお互いの被害も考えられるため,共生の手段として蜂の住処と人の住処を分けているのです。

養蜂施設でとれる蜂蜜はその周囲にある草木の露を凝縮したものといえるため,地区によってその味は変化します。蜂蜜食べ歩きを中心とした食い倒れツアーというのも面白いかもしれませんね。

○るしにゃん王国の自然の恵み
るしにゃん王国は国土に自生している植物の中には食用・薬用となる葉や花があり,また食用になる木の実を落とす木々もあります。
畑や果樹園のように最初から最後まで人の管理を受けているわけでなく,また単位面積あたりに自生している量もそう多くありませんが,
森の面積が非常に広大であるため,生産品目として数えても遜色ないほど国内では使用されています。

森を守り共生を続けるため輸出品目としては著しく制限される他,国民各自も共生意識を持っているために過度の採取は行われておりません。
そうして集まる森の恵みは料理の香りつけや薬味,おひたしなどの小鉢や子供達のおやつなどによく使われています。機会があれば召し上がってみることをおすすめします。



8.水のめぐみ 〜南西の湖〜

南西に広がる豊かな湖


<漁をするの漁船と干物を作る森国人>
○湖のめぐみ
国土の南東部に広がる湖は実に豊富な水産資源を保有しています。その主たる漁獲物は魚類で、
森林の管理以外の目的で陸上生物を狩猟することが殆どないるしにゃん王国の重要なたんぱく源として、
また共和国に属するために猫や猫妖精らが多いことからも、国民食として定着しています。
その調理法の主たるものは和食文化に近いものが多く、保存食を兼ねる加工食品である干物や、
ややクセがあるものの慣れれば非常に美味しい押し寿司などが挙げられます。
中でも干物は朝夕と焼く家庭もあり、この匂いを嗅いで国許に帰ってきたことを実感するものも多いとか。
これらの漁獲物を供給する漁港から一斉に出向する漁船団の様子は壮観で、季節の風物詩ともなっています。



8.水のめぐみ 〜地底湖の秘密〜

湖にない独自の生態系


<地底湖の様子。船にいるのは漁師と魔法使いだろうか。>
○地底湖の巨大魚
国土北部の山間部の地下には地底湖があり、普段は神聖な場所とされて漁をすることはありません。
そんな地底湖では南東部の湖とは異なる独自の生態系が育まれており、異なる種類の魚が確認されています。
その中でも有名なのはいっぱんに巨大魚と呼ばれる、漁船よりも大きな場合もある生物です。
神聖な場所の主とも古くから伝えられているために学術的調査は殆ど行われていませんが、
湖での不漁や食料増産がやむをえないとき、祭り事などの特別な場合にのみ地底湖は漁場として開放されるのです。
その際には能力的な必要性及び儀式的な掟として、団体行動と理力使いや魔法使いの同伴・協力が義務付けられています。

そうして手に入る巨大魚は、食べ物としてみればクセのほとんどない幅広い調理に対応する美味なものであり、
またその硬く鋭い鱗や巨体を維持する強靭な骨格は装飾品や日用品に加工されるなど、
ひとたび狩猟されることがあれば余すところなく利用されるのです。
その一方で地底湖で漁が行われた際は、どんなに後になろうとも特別な鎮魂祭が行われるしきたりがあります。
これらの文化は自然と共存する1つの形として、生きるために狩りながらも自然に敬意を払うという、
国の成立よりも古くからある人の生きる姿を体現しているといっても、過言ではないでしょう。



9.編集後記




編集部は当ガイドブックに対する
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るしにゃんガイド

10218002 第一刷発行







テキスト : ちゃき,クレール,S43

イラスト : テル,七海,はっぷん,はやて,来須・A・鷹臣

発行所 : るしにゃん王国



るしにゃんガイド〜食産業編〜 、いかがでしたでしょうか?
るしにゃん王国の食文化を少しでも理解いただければ幸いです。

しかし、当ガイドブックだけでは紹介しきれない
たくさんのるしにゃん王国の文化があります。

これを機会に、ちょっとした旅行先や終の棲家探しの参考になど、
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るしにゃんガイド編集部一同