焼き芋

これは今の地に王国を築く前のお話。

初のアイドレスでの出撃。
皆、緊張していた。



ゆうみ(王は若く、体も丈夫な方ではない。
    我が弟子ちゃきはエースではあるが、国政を任せるにはまだまだ未熟だ。
    宰相であるS43さんだけはなんとしても生還させなければ・・・!)

ゆうみはそんな事を考え、戦いの恐怖を追い払おうとしていた。


敵影が見えた。

敵の砲撃が来る!
その瞬間、S43のロデム号をかばうようにして前に出るゆうみのインボルト号。

跡形も残らず消し飛ばされると思ったが。
何故か、生きている。
目の前には、青の厚志の舞踏が繰り広げられていた。

信じられない光景に目を見開く一同。

七海「絢爛・・・舞踏・・・?」
ゆうみ「たすかった・・・のか・・・。」
S43「( ゚д゚)ポカーン」
更夜「あー、……私はいらない子か」





ふと向こうを見ると、なにやらちゃきがおかしな動きをしている。
ゆうみ「おーいちゃき、おまえ何やってんのー?」
ちゃき「あれ・・・?ゆうみさん、幽霊になっちゃったんですか?」
一同「はぁ!?」

見ると、ちゃきは墓のようなものを作っているところだった。
一同絶句。
よく見れば「ようなもの」ではなかった。
そこに立てようとしていた木の板は、明らかに墓標だった。
一同更なる絶句。

しばらくの沈黙の後、七海が焚き火のはぜる音で動きを取り戻した。
七海「あ、そろそろ焼けてきたんじゃないでしょうか。」

テル「あ、あ、そうですね。」
気を取り直して、焼芋の様子をうかがうテル。
頃合だ。

ゆうみ「焼き芋ウマー」
更夜「(ほくほく )ウマー」
七海「(メララ )うまー」
S43「(はふはふ)あちち」
テル「おいしいですにゃ」

ちゃき「たべたい」
1つ余った焼芋を物欲しそうに見て呟くちゃきに激怒するテル。
テル「私は、みんなが助かるのを信じて、焼き芋を焼きました!
   なのになのに、ちゃきさんって人は!
   そんな酷い事をする人にはあげません!
   これは幽さんの分です!」

そしてテルは最後の焼芋を紙でくるみ、幽の家へ走っていった。