〜〜とある日の神殿執務室〜〜
るしふぁ「引っ越してからこっち、建国に必死で目がぐるぐるしてましたが、
国もある程度落ち着いてきましたし、ちょっと冒険でもしてみましょう。」
S43「というわけで国会開始です。」
ゆうみ「わーい冒険v」
テル「冒険ってたのしいですよねぇv」
ぷーとら「冒険vドキドキしますーっ!」
七海「僕も冒険してみたいです。」
逸る気持ちを抑えきれず、国民たちが次々に名乗りを上げる。
S43「まずはどこに行くか、どんなことを調べるかを決めましょう。」
先日できあがったばかりのるしにゃん王国の地図を広げるS43。
テル「海がいいなー」
S43「うちの国、海はないですよ?」
一同「え!?」
テル「だ、だって、漁港もあるし、漁だってしてるじゃないですかー。」
S43「ああ、あれは湖なんですよ。」
一同「え!?」
一斉に地図に群がる国民達。
ゆうみ「あ・・・ほんとだ、湖って書いてある!」
テル「湖は地底湖だけだと思っていました!」
S43「うちの国、湖が2つあるんです。いつも食べている魚は淡水魚ですよ。
気づきませんでしたか?」
沈黙が訪れる。
本気で誰も気づいていなかったらしい。
これが、にゃんにゃん共和国の気質というものである。
このことに、最もがっかりしているように見えるのは七海である。
この男、フルネームを七海航という。
七つどころか一つの海も航れない・・・そりゃかわいそうだ。
S43「と、いうわけで、海はないから探検できません。他に行きたいところは?」
あーだこーだと好き勝手に喋る国民たち。
中には居眠りしている者までいる。
流石は猫の国。
統制もなにもあったものではない。
散々喋った挙句、面倒になって「どこに行くか王様決めてよ!」という始末。
るしふぁ「搭がありますよね。まずはそこを探検しに行ってください。
ええっと・・・さっきどなたが手を挙げたんでしたっけ?」
テル「はーい、探検したいですよー!」
真っ先にテルが手を挙げる。
ものすごく嬉しそう。
ゆうみ「オレも手を挙げたー!」
テルに続き、ゆうみもはいはいはーい、と、手を挙げる。
七海「あ、僕もですー。」
にゃー、と手を挙げる七海。
S43「おや?3人?もう1人いたような気がしたんだけど。」
るしふぁ「4人チームで行ってもらおうと思ったんですけど。3人だとちょっと不安。」
S43「うーん、誰かもう1人行く人がいなければ、中止にしますか。」
ちゃき「あ、僕です、僕〜。」
ゆうみ「てめーじゃねぇだろw」
テル「うそつきはめー!ですよ!」
七海「まぁまぁ、皆さん・・・」
と、七海がなだめたその時、今まで居眠りしていたらしきぷーとらが、
ハッと気づいて手を挙げた。
ぷーとら「わ、私も行きますー!」
ブンブン手を振り回し、必死にアピールするぷーとら。
今までの眠気はどこへ行ったのやら。
ああ、そうか、我が国随一の乙女ぷーとらだったのか。
と、一同納得。
るしふぁ「では、明日の朝出発ということでいいですか?」
一同「はーい!」
解散していく一同、その中でちゃきがぷーとらに駆け寄っていった。
ちゃき「ぷーとらさーん、さっきの地図見せて!」
ぷーとら「どぞー」
ちゃき「ああ、ここね。ここは…で…なんですよ。」
ぷーとら「へー、ありがとー。」
情報をもらって去っていくぷーとらの背中を見ながら
ちゃき「……にははは」
一同が、立ち去った執務室
るしふぁ「じゃあ僕は自室にもどりますんでー。」
S43「ゲームをしにいくという意味ですね(笑)」
るしふぁ「ぎ、ぎくっ!いえ、書類片付けたら寝ますよ。」
笑顔で振り返るるしふぁ。
しかし摂政S43は容赦がなかった。
S43「書類片付けないで徹夜でゲームするという意味ですね(笑)」
るしふぁは「にゃー!」と叫んで逃げ出した!
こんなんで大丈夫なのか?ここの国(笑)
あくる朝
その塔は高くそびえ立っていた。
ぷーとら「探検、といっても、どこを探せばよいのやら・・・。
この塔何回か登ってますけど、上からの景色がいいぐらいで
何もなかったように思いますよ。」
七海「あれ?ここ立ち入り禁止区域にしてませんでしたか?」
と首をかしげる七海。
ぷーとら「えー、ちゃきさんが入っていいって言ったから!」
ゆうみ「ちゃ、ちゃきぃ・・・!帰ったらボコボコにしてくれよう!」
テル「暴力はめー!なのですよー!」
ゆうみ「しっかし、これだけ高い塔を建てようと思ったら、
土台はかなり深く掘らなきゃならないんだろうなぁ。」
七海「土台・・・それですよ!きっとこの地下に何かがあるはずです!」
テル「じゃあ、みんな、がんばってさがしましょうね!」
うんうん、と1人うなずきながら進んでいくテル。
どう見ても考えがあってその方向に進んでいるわけではなさそうだ。
さすがはにゃんこ。
ゆうみ「それにしても・・・なんかこの塔、変なにおいがしないか?」
ぷーとら「そうですねぇ。じゃあ、そのにおいを辿ってみてはどうでしょう?」
テル「きっとそれに違いありません!」
ゆうみ「根拠は?」
テル「勘です!」
ずべ。
ゆうみはずっこけた。
テル「さぁ、がんばってにおいをたどっていきましょう!おー!」
ぷーとら「おー!」
意気込んでにおいの強い方へと進んでいくテルとぷーとら。
対して、ゆうみはやっとのことで起き上がったところだった。
七海「ゆうみさん、大丈夫ですか?」
ゆうみ「いや・・・いつものこっちゃから大丈夫ー。」
そして二人も続く。
においは塔の外から流れ込んできた。
自分の勘を確信して外へと歩き出すテル。
何も考えずについていくぷーとら。
本当に大丈夫なのかよと疑いつつも、自分はみんなのお守りで来てるんだから、
と自分に言い聞かせるゆうみ。
何かあったらいけないから、周囲に注意だけはしておこうとがんばる七海。
さすがはにゃんこ。
考えてることはバラバラである。
塔の外をぐるっとまわると、微妙に色が違っている壁があった。
油っぽい変なにおいがその辺りから漂ってくる。
ゆうみ「ここがあやしいな・・・。」
七海「うーん、でもどうしたらいいんでしょう。」
テル「あっ!そうです!こういうときは!」
ぷーとら「こういうときは?」
テル「えいっ!」
という掛け声とともに、壁に向かって突き飛ばされるぷーとら。
ぷーとら「きゃぁぁああっぁぁぁ・・・」
叫び声の後半は壁の向こうへと消えていった。
ぷーとらがぶつかった勢いで、壁がぐるんとまわって元に戻った。
テル「えっへん!」
唖然とするゆうみと七海を尻目に、回転扉になっている壁を通って
中へと入っていくテル。
ゆうみ「く・・・黒いよテルさん・・・」
七海「・・・。」
げっそりしながら二人も続く。
テルが早速明かりをつけたらしく、中へ入ると明るかった。
ふと足元を見ると、どべ、という姿勢のままくずおれているぷーとらがいた。
七海「大丈夫ですか?」
七海はぷーとらの手を取って起こす。
ぷーとら「は、はいー。ありがとうございますー。」
何故か目をあわせられないぷーとら。
流石は我が国随一の乙女である。
テル「さぁ、ここからが冒険の始まりですよー!」
テル、ものすごく嬉しそう。
テルの指差す方を見ると、地下へと向かう階段があった。
ある者は慎重に、ある者はスキップしそうな勢いで階段を下りていく。
階段の下には重い扉が一つ。
[危険!火気厳禁!]と書かれたプレートが貼られていた。
ゆうみ「誰もタバコは吸ってないな。他にも火気はない。扉を開けてよし!」
わーい、とぷーとらが扉を開く。
その向こうには扉がもう一つ。
今度は[だから火気厳禁だってば!]と書かれたプレートが貼られていた。
七海「よっぽど信用されてないんですね(笑)」
ゆうみ「まぁ、そりゃ、しょうがないだろー。とりあえず、開けてみよう。」
と、今度はゆうみが扉を開けた。
そこには、油田設備一式がそろえられていた。
どうやら塔の近くに油田が存在しているらしい。
ご丁寧にも排出ガスの無毒化と再利用の為の設備まで、マニュアルつきで揃っていた。
ゆうみ「つかコレ、揃いすぎじゃね?オレらハメられてんの?(笑)」
テル「わーい、使えるものはみんないただいてしまいましょうv」
ゆうみ「て・・・テルさん・・・黒っ!」
マニュアルを持って王の間へと帰還した一行。
るしふぁ「皆さん、おつかれさまでしたー。」
ゆうみ「かくかくしかじか。
と、いうわけで、嘘みたいな話ですが、油田が見つかりました。」
テル「私、大活躍でしたよv」
ぷーとら「わっ、私も活躍したんですよ!」
ゆうみ「ぷーとらさんは・・・活躍というか・・・うん。よくがんばったよ(遠い目」
七海「はい、これが油田の見取り図です。あまり上手く描けませんでしたが・・・」
S43「うわー、ありがとう!るしにゃん、これで燃料が10万t増えたよ!」
るしふぁ「わーいv」
その夜、みんなで油田発掘祝いのパーティが開かれた。
吏族出仕の疲れを癒していたクレールと更夜も参加した。
ここしばらく国会に出てきていなかった(おそらくメードと戯れていた為だろう)幽は、
1日がかりで国会議事録を読み、なんとかみんなの話についていけたらしいとか。
しかしはっぷんはというと。
設計があるからいいです、と、パーティへの招待を断ったとのことだ。
〜おしまい〜