激突戦闘

暗闇の中ぼろぼろになった二人がいた。
ちゃき「大丈夫ですか!?藩王!」
るしふぁは、口の中に溜まった血を吐き出しながら、ちょっとだけ口元に笑みを浮かべると
るしふぁ「はい。」

そういう二人の目の前には得たいの知れないものが立ちはだかっていた。
その得たいの知れないものが、腕を振り上げると、二人目掛けて振り下ろしてきた。

一方その頃
森の中を悠然とそれでいて隙も無く歩く二人がいた。
謎の女「もしかして、迷っちゃったのアタシたち?」
謎の男「…そのようだな」
謎の女「特訓に行ってくれって頼まれたのに、出迎えも無いのかしらこの国…」
謎の女は、少しほほを膨らませた。

その時、森に轟音が鳴り響いた。

声を掛けるでもなく、目で合図するでもなく二人は駆け出した。
二度三度と轟音が聞こえてくる。
二人は音も無く、暗闇を疾走する。

一方その頃

るしふぁとちゃきが、振り下ろされる攻撃に回避行動を行った。
二人の回避はいままで失敗し続けていた、この攻撃もまた同じように二人の体力を削るはずだった。

跳躍し回避を行ったるしふぁは、不思議に思った。
来るべき衝撃がこない、攻撃が外れた音も無い。
瞬時に体勢を整えると再び得体の知れないものに目をやる。
るしふぁは、その光景に目を疑った。
振り上げられた腕が、そのまま止まっていた。
得体の知れない物の肩の装甲の隙間に一本のナイフが刺さっていた。

???「……オズルか」
悠然と金髪の男が現れる。
男は、ナイフ一本で彼がオズルと呼ぶ物の腕を封じたのだった。
そしてるしふぁを見ると
???「……お前達、るしにゃん王国の人間か?」
立ち上がりできるだけ胸を貼って
るしふぁ「これでも国王だ。」
オズルがもう片方の腕で今度は男に向かって腕を振り下ろす。
その攻撃をフットワークで紙一重で回避するともう一本のナイフで脇に再び突き刺す。
男「そうか、おれはクリサリスだ。見ていろ……」
何事も無いように、一連の動作を行いながらクリサリスは、るしふぁにそういった。
クリサリスは、回避と同時に装甲の隙間にナイフを刺していく。
その動きは、一切の無駄が無く最小の動きで攻撃を回避していった。

ちゃき(攻撃は、たしかに受けてないがこちらの攻撃も当たってないぞ。ジリ貧だ…どうする!?)
クリサリスそれを察知すると
クリサリス「……ふっ」
最後のナイフで足の腱を切り裂いた瞬間だった。

ばさっ!
頭上の木が大きな音を立てると、その間から大きな満月が現れる。
その月を何かが覆い隠す。
???「……我は力の代行者として魔術を使役する。 完成せよ 精霊脚!! 」
そういった何者かの脚が青色に光るとオズルを叩き潰す。
徐々に動きを制限していっての止めの一撃だった。

???「さっすが、私の旦那完璧な仕事ね!おつかれ!」
クリサリス「……ふっ」
???「で、君らがるしにゃん王国の人たち?」
相手が、女性だと気づいてるしふぁはさっきよりから元気をだして。
るしふぁ「これでも、るしにゃん王国の国王だ。」
???「ふーん、わたしはニーギ。あんた達に特訓してやってくれって言われたんだけど…いまの見てたでしょ?」
るしふぁ「え、まあ」
ニーギ「それじゃ、今のを見取り稽古ってことで。じゃ私達帰る。じゃーねー」
るしふぁ「え?」
クリサリス「……そういうことだ。」
ちゃき「ちょっと、待ってください。せめて、理力でこの森を抜けやすくいたします。」
ニーギ「まあ、これくらいの幻術どーってことないけどね。せっかくだし、そうして。」
クリサリスは、道に迷ってたことを言おうとしたが、口をつぐんだ。
理力で幻術を解くと二人は、あっさりと去っていった。

ちゃき「とりあえず生き残りましたね。」
るしふぁ「ですね。」

ちゃき「……」
るしふぁ「……」
るしふぁ、ちゃき「よかったー!」
ちゃき「じゃ、帰りますか?」
るしふぁ「うい」


神殿入り口
入り口で、ゆうみが仁王立ちしている。
それを見て、から元気を出しつつ歩く
ちゃき「やっぱり、わんわんの奴らとは違って、にゃんにゃんの僕達は負けませんね。」
るしふぁ「ですねー。」
ちゃき「あ、ゆうみさんおはよーございます。」
るしふぁ「おはよーです。」

ゆうみ「るしふぁ王・・・あれほど自重されよと申し上げたではありませんか!
    二人とも、そこへなおれ!」
ゆうみから出る怒りのオーラに、るしふぁとちゃきが争うように気をつけの姿勢になる。
ゆうみ「ちゃき!おまえがいてなんという失態だ!あれほど王をお止めしろと言っておいたのに!止めるどころか一緒に出かけて、あわや我らが王を失うところだったんだぞ!もーちょいまともな行動をして、いい加減弟子卒業できるようにしろやコラ!」
がるるる、と、いまにも噛み付きそうになっているゆうみを、クレールがつつく。
そしてやっとゆうみは「ひくっ、ひくっ」と泣いているテルに気づいた。
ゆうみ「ご、ごめんなさい、いきなり怒鳴ったりして・・・」
その声に、ふるふると首を振るテル。
あれ?怒鳴ったのが怖かったんじゃないのか、と、みんながテルを見ると。
テル「しゅぎょー・・・したかったです・・・ぅぅ・・・」
ええっ、泣いてた原因はそれかよ!とあっけに取られる一同。
しばらく沈黙が流れた。

ゆうみ「テルさん、いまからこいつボコってきますんで、王をよろしく。」
ちゃきの襟首をひっつかんでズリズリとひきずっていくゆうみ。

ちゃきが引きずられていくのを哀れみの目で見送った更夜。
更夜「ふう、まあ今回の件は、王が死ななくて3億だったわけだ。そう考えたら安いもんだ。」
はっぷん「そうですね、更夜さんは前向きですね。」
更夜「うわっ!はっぷんさんいたんですか?珍しいですね。」
はっぷん「変ですか?私が、仲間の心配しては」
更夜は、ちょっとだけ、きょとんとしたと思うと笑顔になると
更夜「そうだな、それは失敬した。ははは」
はっぷん「…ふふっ」

数時間後執務室
ちゃき「いたたた」
るしふぁ「帰ってきたときより酷そうですよ。」
ちゃき「仕方ありませんよ。」
るしふぁ「今回戦った敵は、オズルに間違いないようです。アルフォンスのおっしゃったように……」
ちゃき「そうでしたか、では事態は悪そうですね。しかし、いち早くアルフォンス様の指示通り動いてよかったですね。」
るしふぁ「ええ、そうですね。しかし、これからが本番のようですね。」