S43は先王の写真と向かい合っていた。
写真というより、綺麗にラミネートされたそれはブロマイドというのではなかろうか。
やんちゃ坊主な表情の多いるしふぁ王と違い、S43の記憶に残る先王の顔は
にこやかな表情の中にいつも威厳があった。
「先王。どうか、るしにゃん王国とるしふぁ様、
そしてアルフォンス様をお守りください。
あとセーラとかセーラとかセーラとか・」
「わ、わたしも・・・。先王、るしふぁ様とセーラをお守りください。
あと、べるかいんべるかいん・・・」
「わわ、かすにゃん、いきなり現れてなんてことを!(笑)
かすにゃんのEGB(エレメンタルギアボルト)好きは死んでも治らないな(笑)」
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ドンドン!
「たのもー!!」
ある日、宮殿に来訪者が来る。彼女もまた、目がぐるぐるした者であった。
「入国希望者です!
わたしをるしにゃん国民に登録させてください!」
「んー、イイヨー」
即決。
るしにゃん王国は、来る者は拒まなかった。
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最初に対応をしたのはこの国の文官の一人、幽という男だった。
入国の手続きを王から任されていたのだ。
「えーと、鷹臣…読みはタカオミで良いのかな。
鷹臣さんですね。よろしくお願いします。
うわ、誕生日と血液型おんなじだ(実話)。
「ええ!」
「ごほん、すいません。どうでも良かったですね。
まずはこちらへどうぞ」
「はわわ、よろしくお願いします。何かと不慣れなもので…」
「ははは、大丈夫です。
わたしの方は昔からこういう対応には慣れてますから。
自分のペースでゆっくり馴染んでいってください」
それから、国の主要な人物へのお目通りとなった。
「まず、この部屋に吏族の2人がいます」
招き入れる。
「更夜さん、クレールさん、入りますよー」
「ああ、更夜さんはやくしてください!今日も国会があるんですよ!」
「ああ、ちょっと大きな声止めて…」
「また、朝まで飲んだんですか!」
「ん?幽さん、もしかして、その方が新しい?」
鷹臣を一歩前に出す幽。
「は、はい。新入りの鷹臣といいます。以後よろしくお願いします」
「よろしく、お嬢さん」
と言うやいなや、服をピシッと調えると
「はじめまして、私は更夜。吏族をやっているものです。
ああ、もっとお話したいが今は出仕に行くところです。
また機会があれば、お茶でもいかがです?」
クレールと幽は、またか、といった顔をになりつつ
「……はあ…わたくしは、クレールです。
更夜さんとともに吏族をやっています。
それでは、私たちは行きます。ではまた」
そういうと、更夜を引っ張って二人は去っていった。
「ははは、今のが吏族のお二人です」
鷹臣「面白い方たちですね」
幽は、ちょっと苦笑いを浮かべた。
「仕事はとても優秀な方々なんですよ」
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そして国会へ。
藩王以下、主要なメンバーが揃っている。
「閣下、新規国民登録者を連れてきました」
藩王と対面する鷹臣。
「るしにゃん王国は貴方を歓迎します。
共に和して自由の旗に栄光を与えましょう」
「あ、ありがとうございます!
わたしは鷹臣です、よろしくお願いします!」
「よろしくー」
「ようこそ、るしにゃんへ〜」
「こちらこそよろしくお願いします」
「鷹臣さん、がんばって!」
「コンゴトモ、ヨロシク」
「いらっしゃいませ〜」
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しばらく談笑した後。
「ところで鷹臣さん、数ある藩国の中でどうしてうちの国に来ようと思ったの?」
は、はわゎ、となる鷹臣。
明らかに挙動不審である。
「僕も知りたいです。
ただなんとなくとか、そういう理由でも構わないので教えてください」
藩王も興味津々。
(えー!えー!私ってばなんて国に来てしまったのでしょう・・・!?
なんかものすごく聞いた事のある名前の方がずらりと・・・。
来須先輩が来るっていう噂で飛んで来たけれど・・・きゃー!)
鷹臣、心の中の叫びだったはずが、最後の「きゃー!」だけ口に出てしまったようで、
心配した七海がのぞきこむ。
「鷹臣さん、どうされました?」
きゃっ!と飛び上がって逃げる鷹臣。
「大丈夫、取って食ったりしないから(笑)」
笑うゆうみ。
鷹臣(取って食うって何?何?えええ!?)
「来須先輩に…ッ、わたしも来須先輩に修行をつけてもらいに来ました!
来須先輩に会いたいんですッ!」
静まり返る一同。
特に藩王るしふぁとエースちゃきは顔を青くして明後日の方向を向いている。
そう、先の冒険でるしふぁとちゃきはクルス&ニーギに命を助けられ、
旅人二人は既にこの国を去っていたのであった。
先輩はもういないのである。
「あー、と。先輩たちはその、わたしたちの代わりにお星様になりました」
「ちゃき、ちょっと来い」
再びゆうみに襟首を掴まれ裏に連れて行かれるちゃき。
何回か殴打音が聞こえ、やがて静かになった。
「ごほん」
咳払いをし、気を取り直す藩王。
「申しわけありません。
わたしたちの不徳の致すところで、
滞在を予定されていたクリサリス殿とニーギ殿は
すでにこの国を発たれてしまいました」
愕然とする来訪者。
だが。
「……。
それでも、それでもわたしは来須先輩の訪れたこの国に入りたいです」
おおぉぉ…。
感動する一同。
「…わかりました。
るしにゃん王国は
国をあげて貴方を先輩のもとに辿り着かせることを約束しましょう」
るしふぁ王は力強く宣誓する。
「そう言えば、今夜はぷーとらさんいないね」
「更夜さん、ぷーとらさんは?」
更夜、明後日を向く。
「またですかー。まったく更夜さんは」
「鷹臣さん、更夜さんは危険なジゴロなんで近づいちゃダメですよ!」
「にゃはは♪」
アルフォンス様の顔に、また笑顔が一つ咲いた。