■丘陵展開部隊第1中隊、ここに多くの、るしにゃん王国国民は投入されていた。
この一大作戦に向け各国は、戦える戦力を極限まで捻出してきていた。
るしにゃん王国にしても国王以外総出という状況である。
また、この部隊の27名中なんと13名が猫というなんとも素敵な布陣だった。
しかし、一匹だけでも大変な猫の世話を13匹同時というのは、なかなかに許容量を超える数であった。さらに、最近入ってきたはやてという少年までいる。
S43は、こんなことまでしている国が、本当に勝てるんだろうかと頭を抱えていた。
はやて以外にも、この作戦がはじめてという者も少なくなかった。
Chessもそんなひとりだった。
(…敵がいったん海まで行ったときは助かったと思ったのに…。にゃんでもどってくるかにゃ〜)
「おいChess、爪うるさい。」
そいったのは、ゆうみだった。
「かたいこといいなさんなー」
ぱちん
Chessには、無意識に伸びた爪を鳴らす癖があった。
「もしかして、初陣で緊張してるのか?そういや、Tntもさっきから無言だな。お前ら、大丈夫か。」
「ん?特に変わりないが?」
「そっか、お前普通に戦闘経験豊富だっけ。」
相互の制空権に近づくそんなとき、指揮官のS43から展開命令が下された。
ゆうみは、そばにおいてあったRPGをひょいと肩に担ぐと
「それじゃ、オレたちも行くぞ!」
「おー!」
「了解!」
布陣が開始すると、七海が異変に気づいた。
七海は、S43に頼まれ猫達がそろっているか確認にいかされた。
「それでは、皆さん1から番号お願いします。」
「1」
「2」
「3ネウ」
「4」
「5」
「6」
「7にゃ」
「8」
「9」
「10」
「11」
「12」
「13」
「14ネウ」
「…え?多くないですか…って、かすかさん!なに普通に混じってるですか!」
「いや、ぼくは猫だにゃー。」
「S43さんに言いつけますよ、ついでにゆうみさんにも。」
「いますぐ配備につくサー!」
はっぷんは指揮テントで、戦の火蓋が落ちるのを待っていた。
「まもなくですね、テルさん」
「……むむむ」
(さすがのテルさんも、緊張されているのか。女性だし仕方ないことか。)
「できました!」
「うわっ」
びっくりして、かなり豪快にはっぷんはそっくり返る。
「ど、どうしたんですか?」
「えへへ、うちの戦力と相手の戦力の推定を比較してみてたんですよ。」
「え、もしかしてさっきからずっとですか。」
良く見ると、指揮官からもらったデータを丹念に数値化されていた。
「そうなんですよ!この勝負勝てます!……きっと」
「きっとですか…ははは」
中隊でも後方のなかの後方
はやてと鷹臣は、そんな場所に配置されていた。
「なんで、わたしがここなんだー!」
と、とりあえず叫んで“るしふぁ専用”と書いた日本刀を振り回してみる。
「こどもなんだし、仕方ねーじゃん。」
「なんだと、はやて!とりあえず、あんたは子供でもわたしは大人だ!」
「そのくらいの年齢のやつは、そう言うってゆうみがいってた。」
「前線のほうが、絶対に、先輩がいそうなのに!」
S43は指揮テントの中で展開が、無事終わったのを確認していた。
「…なんとか、子供を後方に配備できてよかった。」
近頃は、少年の志願兵まで出てきている。
本当に子供だったり、国王と同じ年齢だったり。
せっかく、歳の近い御学友が国王に出来たというのに……。
S43は、作戦が完璧に進んではいたものの、国力をすり減らし、子供まで戦場に借り出すそんな戦争に勝敗以上の危惧を感じていた。しかし、考えている余裕は無かったまもなく戦闘に突入する。忍者のアイドレスをつけた猫たちが次々やってきては、命令を受け取り走っていく。動き出した戦いは、止まらない。
結局は、戦って勝つ。それ以外に、手段はないと思ったS43は、それ以上考えるのを止めた。それが、最善の手段だったから。
その日、にゃんにゃん共和国は戦死0敵母艦全壊という歴史的勝利を手にした。
しかし、それはこれから続く戦いの序章でしかなかった。