序文 ■ 現状と課題
皆さんご存知のように、一人の男の乱心が招いた厄災によって、多くの国民の命が奪われ、国土が破壊されました。
かつての我国は森と水に囲まれた美しい国であり、弓兵が誕生するまでは、魔法使いと星見司の国として全国に知られていました。 NW全土に四つ存在する星見司の象徴である塔の名を冠した組織のうち二つまでが我国にありました。 その内の一つ、太陽の塔の塔主は、かつて星見司の代表としてヒーローゲームに挑み、 東の善き魔法使いの称号と詠唱に特化した絶技を使うオーマになった男でした。 その為、我国では魔法使いと星見司は深く結びつき、国の中で重要な役割を担っていました。 しかし、その男が厄災を引き起こす張本人であったことから、被害者や被害者遺族の恨みを買い、魔法使いと星見司の地位は地に堕ちました。 混乱を極めた厄災の中、国内では「魔法使い狩り」とも言うべき暴行事件が相次ぎ、多くの魔法使いが命を落とすことになりました。 全世界に広がった厄災を終わらせる為に尽力した人々の中に、一人の魔女が居ました。 その魔女の偉大な魔法は、滅亡寸前であった国を世界を救い、それを目の当たりにした人々は、魔法を畏怖するようになりました。 このことで、魔法使いに対する迫害は表面上収束することになりましたが、信頼を回復できたわけではありません。 また、やむを得ない状況から、国内外の公民を問わない支援を受けて再建を進めた結果、 他民族文化が多く流入し、森国人国家としての文化の衰退が危惧されています。 多くの有志の投資によってネコリスの森が保護されたことで、早急な文化崩壊の危機は一時的に回避されていますが、 国家規模の施策をもって対処する必要があります。 国土の再生も然る事ながら、人口の極端な低下も大きな問題であり、労働力の確保も問題となっています。 全国に目を移すと、厄災による荒廃とISS舌禍事件の影響で大量の難民が発生し、未曾有の混乱が起きています。 中には、目を覆わんばかりの悲劇が恒常的に発生するような事態となっている藩国も見受けられます。 帝國との国境にあたる我国でも、難民の流入が発生しており、事態の沈静化には、話し合いは済まない状況になっています。 また、全国規模の混乱の為、市場が停止し、国家間の物流が事実上停止しています。 これに対し、最も重要な食糧関連に限定的な市場を民間主導で運用する計画があり、 国家予算をあてて支援した結果、現在利用可能な状態にあります。 上記のような状況での課題は大きく分けて下記の4つがあります。  1.難民流入による治安悪化への対応  2.国土の再建  3.森国人文化の回復  4.国力の回復 以下にこれらに対する方針を記します。 |
■ 難民問題と国土再建について
現在、暴徒化している難民の多くは、情勢不安で職や住居を失った共和国民です。
各国の対策の遅れなど、いくつかの要因が重なり、不幸にもそうせざるを得なくなった被害者といえます。 暴徒化している間は、話し合い等平和的解決は望めませんが、道義的に考えて、強引に排除することもできません。 善良な国民の皆様の安全を確保する為に、やむを得ず、武力介入を行いますが、 これには不殺をもってあたり、被害を最小限に抑える方針でいます。 危機的な状況が取り除かれるまで、政府放送の指示に従い、外出を控えていただけるようお願いいたします。 事態の沈静化の後、難民の方々の希望を聴取した上で、国民或いは一時滞在として積極的に受け入れる用意をしています。 国土再建にはまだまだ、人員が不足しており、彼らの労働力が得られるなら、大きく前進するものと考えます。 永住を望まれる場合は、後述の教育システムに基づき、森国人の文化を知ってもらう事で、 本当の意味で国に溶け込んでもらう手伝いをする予定です。 幸いなことに食糧問題に関しては、NACに加入することで、物流も確保できており、 彼らの為に増加が見込まれる消費にも対応できるものと判断しています。 早急に難民の受け入れを統括する管理事務所を設立し、氏名・年齢等最低限必要な情報を管理し、 円滑に受け入れを行うともに、治安の維持にも役立てる計画です。 |
■ 森国人文化と国力の回復について
森国人は森に学び、森に生かされ、森を守る民族です。
かつて、我国では国土の大半を覆う森を理力で覆い、隠蔽することで外敵の目を欺いてきました。 現在、一度失われた森には、これがなされていません。 理力使いの総力を結して、これの再建にあたることで、森国人の文化の一部を守りたいと考えています。 今後も予想される難民の流入や外敵の侵入に対しても、非常に有効な手段であることは、間違いないでしょう。 また、失墜した魔法使いの復権も森国人の文化の回復には欠かせない課題のひとつです。 彼らに活躍の場を設け、その実力を示すことで、信頼の回復の一助になればいよいと考えています。 その具体的な施策が「魔法使いによる治安維持活動」です。 先述のように難民の方々は暴徒であっても守るべき対象であり、殺傷する対象ではありません。 血を流さず、暴徒に立ち向かうという難題を彼らにやってもらおうと考えています。 魔法使いは、何度も強敵を倒してきた絶大な火力を持つ詠唱で知られていますが、これを破壊に行使するのではなく、 国民を守る壁として利用するのです。 銃撃とは異なり、詠唱にはこれが可能なのです。 そしてもう一つ、魔法使いには、平和的な特殊能力があります。 彼らは、己が人生を語ることで、聞く者を涙させ、戦意を喪失させることができるのです。 一方で彼らは、脆弱で物理的な暴力の前に無力な存在です。 障壁が投石に間に合わないかもしれません。 説得にも耳を貸さないかもしれません。 それでも、血を流さず、これを押し留める為に、最前線に彼らが立つことで、信頼を勝ち得、 森国人の文化の一つを守ることに繋がると考えます。 彼らが復権することで、対外的にも森国人の評価が回復し、国力の増強に繋がることでしょう。 |
森国人文化の回復の本命は教育システムの再編にあります。 情勢不安と他文化流入によって失われた独自文化への理解と知識の低下からの回復を主眼とし、 教育システムを整備、国全体の学力向上を図るものです。 あらゆる国民の行う産業にわが国ならではの独創性を生み出して付加し、普及させるための最初のステップとして位置付けられます。 教育システムと連動して、森国人固有の文化を技術に転換し、国際競争力のある産業へ結びつける試みも行われています。 これらの詳細は別記を御覧下さい。 |
別記 ☆ 施策の具体例1:ドキュメント「理力使いたちの尽力」
るしにゃん王国の理力使いたちの間には、ひとつの秘術が伝えられている。
俗に「森の守り」と呼ばれるそれは、元々るしにゃん王国の建物がひとつ増える度に密かに施されていた秘術であった。 そもそも、大災害以前のるしにゃん王国の民の住居は、木を作り替えることで生み出されていたものである。 特別な処置を施して巨木とした木に苗の段階で特殊な枠を埋め込むことで部屋や壁を作り出し、 階段となる空間を設ける等々、土台となっている木を傷めない形で、住空間を作り出す。 そして、それらの仕上げとして理力使いたちが「森の守り」――即ち、敵対する者たちの目に触れないようにと カムフラージュの為の幻術を施すのである。 しかし、相次ぐ争乱と度重なる災害によって、るしにゃんの国土は深い痛手を受けた。 この秘術もまた、力の源となる森の消失により機能を失っており、早急な補修が必要となっていたのだ。 加えて、今度の内紛である。 事態を重く見た理力使いたちは、ここでひとつの提言を行った。 幻術の内容を、より現状に合う状態に書き換えようというのである。 即ち、るしにゃんの民にはこれまで通りの住居そのままに――それ以外の者たちには、彼等が親しんだ故郷、 あるいは心許す国の街並みを連想させるものに見せようというのである。 これらの心理的な効果によって、多少なりとも住居に対する破壊を抑えようという試みであった。 早速、政庁図書館に保管されていた秘術の原本が紐解かれた。 解析には星見司たちが、術の構築には魔法使いたちが協力し、国内の状況調査には忍者たちが手を貸した。 作業者たちの、職業の区別なく行われた作業により、新たな秘術は完成し――人知れず、再び「森の守り」はこの国を覆ったのである。 |
||||||||||
☆ 施策の具体例2:教育システムの再編
世界は繋がっているもので、他国の経済や人々が我々によくも悪くも影響を与えています。
食料が余って価値が下がったり、わんわんから出稼ぎ民が現れ生産者の職を追われる方があらわれたのもその一つです。 その中で、皆さんが今の姿をできるだけ変えることなく、生きるための豊かさを得る方法を政庁は思案しました。 その答えが、独自性の発展です。 るしにゃん王国の個性を強くアピールするものを作ることで国の個性を保とう、というものです。 るしにゃん王国には忍者、魔法使い、医師といった文化が強く根付いると私達は認識しています。 その中でも魔法と医学は皆さんの日常生活に密着し、深い関わりがあることでしょう。 その魔法と医学の正しい知識をよく学び深めて日常生活に還元することで、国の文化・文明の基盤としようではありませんか。 これには、かつての災いを二度と起こさぬよう正しい知識を普及し、また有事においては皆さんの命が損なわれないよう、 自身で身を守り同胞を助けるための術を広めたいという私達の願いがあります。 これに併せて、生命の仕組みに触れて得る独自の食糧生産技術の開発をはじめ、 また新しい職業として魔法を用いて国に貢献する技術者や治安維持組織を設立する計画を展開いたします。 学ぶことはどこでも、いつでもできるものであったはずです。 政庁はそれを夢物語とせぬべく、入学制限を全面的に廃止して老若男女に仕事のあるなしを問わず入学ができるようにするほか、 夜間学校の開校や瞑想通信を利用した通信教育の開始に、学生の経済状態に応じた学資の援助など、 あらゆる方面から皆さんの学習意欲を応援します。 では、どのようにシステムが整備されるのかご紹介しましょう。 新システムは知識を深めていく縦の進学システムと深める知識を定める横の機関の分類に分けられます。 王立の学校を例にしたこちらの図を見ながら考えていくと、わかりやすいでしょう。 ○ 進学システム 進学システムは二段階に大別されます。初等科と高等科です。
○ 機関の分類 さらに今回のシステム整備に伴い、国内にある教育機関を分類しなおしています。主に以下の3種に大別されます。
もちろん、ここで挙げたとおりの道ばかりではありません。 公職や民間企業で役立てる知識を学ぶ道も各教育機関に様々に用意されています。 各種手続きや、ご不明な点は各学校や政庁、お近くの護民官にまでお尋ねください。 |
||||||||||
☆ 施策の具体例3:独自技術の開発
○ 新素材の開発の実例
【不織布】 るしにゃん王国では不織布を用いることで機密性の高い素材開発が行われた。 特に、従来の方法をある程度継承するためにケミカルボンドを用いた一種の複合材料の開発に乗り出した。 従来の繊維に樹脂を含浸させることで新たな素材開発を行った。 機械技術に関してあまり精通していないるしにゃん王国では、材料表面にボイドが発生するなどで実現不可能と思われた。 だが、技術開発チームは加圧含浸に理力を使うことを提案した。 これによって均等な圧をかけることで均一な表面が精製できるようになった。 ○ 魔法による「河の鉄」回収技術の確立 「河の鉄」とは、河川を流れる水に含まれる砂鉄のことである。 湖岸に広大な砂浜を持つるしにゃん王国では、この湖岸の砂浜から鉄の生産を行うことになった。 もともと、山岳から多くの水が湖に流れ込む地形である事から、 河口付近では砂の成分である花崗岩との重量差によって少量の砂鉄を得ることが可能だった。 今回の計画では、魔法により堰を設けることで砂と砂鉄を水と共に大量に流し込む水路を開発した。 これによって、純度の高い砂鉄を得ることが可能となった。 これまでは、魔法を使わずに手作業で行っていたが、堰の開閉と言った力仕事が多く、非力な森国人が行う限り生産性が悪かった。 今回、森国人が秀でる魔法を使うことで容易に行うことが可能となった。 ○ ウルムスプロジェクト〜魔法と風を利用した個人用軽量飛行装置開発の近未来予想図 るしにゃん王国は巨大な渓谷から国土を南北に分断する河川を中心に広がっている。 この地形のため、強い風が山岳から湖に向けて吹き抜けるのが常である。 この風を利用した、飛行装置を開発しようというのが「ウルムスプロジェクト」である。 基本的には滑空を主体とした飛行装置であり、継続飛行するための推進装置を有さない。 非力な森国人にも容易に取り回しができるように、極限の軽量化が図られる。 飛行時は、自然の風に乗って滑空するが、必要な高度に達する為の推力が必要となる。 これに魔法を利用するところに森国人としての独自性がある。 同時に開発が進められている新素材の利用が予定されており、完成までには、まだ幾分かの時間が必要であるが、 近い将来、るしにゃん王国の魔法使いは、箒ではなく、この「ウルムス」(楡の木)に身を任すことになるだろう。 |
最後に 最後に、これらの政策の実施を応援・象徴するものとして、以下のスローガンを掲げます。 国家再建のスローガン 『風を感じて 森と生きよう』
|