審査待ちのアイドレス

個人着用アイドレス 07
「高位森国人+猫妖精+弓兵+世界忍者」


月下の弓兵 [作画:七海]

高位森国人+猫妖精+弓兵+世界忍者

高位森国人
(人)

要点

・長い耳・長い髪(男女とも)・やせぎす・絹の服装・頭環

周辺環境

・森の王宮

特殊

*高位森国人は根源力25000以下は着用できない。
*高位森国人は一般行為判定を伴うイベントに出るたびに食料1万tを消費する。

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・賢者(職業)・動物使い(職業)弓兵・(職業)・藩王(職業4)

猫妖精
(職業)

要点

・猫耳・尻尾

周辺環境

・なし

特殊

*猫妖精はコパイロット行為が出来る。
*猫妖精はオペレーター行為が出来る。
*猫妖精は夜間戦闘行為が出来、この時、攻撃、防御、移動判定は×1.50(評価1)され、
 燃料は必ず−1万tされる。
*猫妖精は白兵戦行為が出来、この時、攻撃、防御、移動判定は×1.50(評価1)され、
 燃料は必ず−1万tされる。

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共和国大統領選挙(イベント)、猫(職業)、猫先生(職業)、泥棒猫(職業)

弓兵
(職業)

要点

・長弓・矢筒

周辺環境

・森

特殊


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世界忍者
(職業)

要点

・世界の国をモチーフにした忍者装束(例:イギリス忍者)・尻尾・悪そうな目

周辺環境

・城の屋根

特殊

*世界忍者は夜間戦闘行為が出来、この時、攻撃、防御、移動判定は×2.25(評価2)され、
 燃料は必ず−2万tされる。
*世界忍者は白兵戦行為が出来、この時、攻撃、防御、移動判定は×2.25(評価2)され、
 燃料は必ず−2万tされる。
*世界忍者は侵入行為ができ、侵入行為(判定:幸運)時、判定は×3.38(評価3)される。
*世界忍者は建築物破壊ができ、このとき建築物の効果は無視される。

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世界貴族(職業)、エミリオ・スタンベルク(ACE)、世界侍(職業)

評価

** 体 格 筋 力 耐久力 外 見 敏 捷 器 用 感 覚 知 識 幸 運
高位森国人 +1 0 0 +2 +2 0 +1 +2 0
猫妖精 -1 0 0 +1 +1 -1 +1 -1 0
弓兵 - - - - - - - - -
世界忍者 -1 0 0 +1 +2 -1 +2 -1 0
合計 - - - - - - - - -
** 体 格 筋 力 耐久力 外 見 敏 捷 器 用 感 覚 知 識 幸 運
高位森国人 1.50 1.00 1.00 2.25 2.25 1.00 1.50 2.25 1.00
猫妖精 0.67 1.00 1.00 1.50 1.50 0.67 1.50 0.67 1.00
弓兵 - - - - - - - - -
世界忍者 0.67 1.00 1.00 1.50 2.25 0.67 2.25 0.67 1.00
合計 - - - - - - - - -


ロングボゥを射る弓兵 [作画:テル]

○弓兵の登場
長弓を装備した世界忍者の登場は、るしにゃん王国としては必然であった。
国土の大半を森林で覆われるるしにゃん王国に住む森国人と高位森国人は、所謂、エルフであり、高い知性を持ち、敏捷性に優れる一方、筋力や耐久性に乏しく、高い白兵の技能を持ちながら決定打に欠けるという大きな問題を持っていた。
この問題に対処すべく、魔法使い系の各職業は詠唱技能を高め、医療系職業はその高い知識を有効に活かすことで活躍の場を得ていたが、 国民性と親和性の高い忍者系職業が特殊任務だけに留まり、活躍の場が限られているのは、森国人としては忸怩たる思いであった。

旧来から森の番人として木々を飛び回る森国人は弓の名手であったが、木々の生い茂る森林では取り回しの問題から、小型の弓、短弓を使用するのが常だった。
森ではそれで十分、いや、それが最良であったのだ。
長弓はその大きさ故に森林での使用には適さないが、短弓に比べ、射程でも破壊力でもこれを凌駕し、非力な森国人の弱点をカバーする兵器として一躍脚光を浴びることとなる。

古来、長弓は大きく分けて二つの系譜があり、片方が竹を材料とする和弓、日本的な弓であり、もう一方がウェールズのロングボゥである。
るしにゃん王国は竹を産出する一方、青にして正義に縁のある楡の木も多く見られる。
ロングボゥは杖の原料としても使用されるイチイか楡を原料とする弓である。

つまり、るしにゃん王国は二大長弓を生産、使用するのに適した環境を最初から有しており、ここにきて弓兵が登場するのは、最早、必然だったといっても過言ではない。

ちゃき・はっぷんを中心とする和弓開発チームとは別に、ロングボゥ系の弓も同時に開発されていたことで、弓兵の装備はバリエーションに富み、多くの状況下で活躍の舞台を得ることとなっていくのである。

[文章:S43]


森の王宮 ここでロングボゥは開発された [作画:S43]


戦場の更夜 [作画:鷹臣]


○戦場の一射

「もうだめにゃー・・。」

次々と洞窟の外に運ばれる猫士達。
巨大魚の強力な攻撃を受けて皆軽い傷では済んでいない。
かろうじて無傷の猫士達が巨大魚と正対するも、その数はもう数えるほどで、体力は限界に近い。
全滅の二文字が、点灯していた。

「ギシャアアアオオォォ!」

縄張りを荒らされ、鱗を逆撫でされてまだ怒り冷めやらぬ巨大魚が残る猫を一掃しようと身構える。
その気迫を受けて猫士達は、家族の幸せと組合長への恨み言を胸に込めて目を瞑った。
だが、そのとき。

「ソォコマデダ!」
「「!」」

洞窟の入り口から溢れる光を逆光に浴びて、二人の男があらわれた。朝がくるように。いつものとおりに。
「るしにゃん王国今代筆頭世界忍者、はやて推参!」
「おなじくchess、只今参上! 援軍つかまつる!」
堂々と名乗りを上げた二人は同時に駆け出し、上と下、二手に散る。

洞窟の内壁を俊足で器用にかけあがるはやて。
最後の一蹴りで空中へと飛び出し、巨大魚の真上をとった。

「これでもくらえっ! 貫・拡・連・撃!」

弓に10本以上の矢を番える。
ヒット数は10以上になるが同時に力学的には1/10以上に分割されたエネルギーしか与えられない。
現実には駄目技である。
だが、このポジションなら。
そして、この弓矢なら。
力の限り引き絞り、弦を弾く。
いつもより弱弱しく弾き出された矢は浮遊魔法が改竄され、魔法の引力に重力の力が上乗せされていつもよりも盛大に加速を始めた。
2階から目薬ならぬ3階から射撃された数多の矢は先端から淡い光の残像を走らせながら着弾し、その速度からやすやすと鱗を砕き肉を裂き、その身を抜けて地に刺さる。
その矢を、巨大魚の足元に侵入したchessが引き抜いた。

「一回で終わると思ったら、甘いッ!」

引き抜いた速度を利用して身を捻り、強化された遠心力と巨大なやじりで巨大魚の腹を突き刺し、切り裂く。血が噴出すよりも早く駆け抜けたその攻撃に、痛みと衝撃で盛大によろめく巨大魚。

「いまだ、猫士達!」
「狩りを終わらせろ!」

その声を受けて、猫士達が体力を振り絞って奥の手を取り出した。
手押し車にいっぱいの発破用爆薬を載せ、勢いよく押し出す!

「「「にゃー!!」」」

手押し車はでこぼこ道のせいで盛大に転倒し、猫士達もずっこけたが、勢いに乗って空を飛び敵に到達する爆薬は連鎖的に火を撒き散らしてそれを巨大な炎で包みこむ。

彼らが無事な姿で洞窟の外に姿を現したのは、その数分後のことだった。

[文章:クレール]


弓兵にクラスチェンジした世界忍者Chess
[作画:はやて 着色:南無]


○蘇る世界忍者

るしにゃん王国の忍者系職業のすたれっぷりは、共和国内を見ても類を見ないものだった。

そもそも、活躍の場がないのである。
破壊工作や侵入には向いているものの、森国人の弱点である肉体的弱さが目立つ結果となったのだ。
そのため進路を忍者系職業という希望者が年々減少するのは、世論調査によっても明白であった。
これ以上の資金投入は明らかに無駄である。
そう結論付けられていた。

しかし、ここで一発逆転劇が起きることとなった。
この奇跡を起こしたのは、クレール率いるマジックアイテム捜索隊の一人であるChessである。
FEGにある洞窟探索、そこでゴロネコ藩国の要救助者を助け出すためChessが死力を尽くしたのであった。
彼の活躍により、ゴロネコ藩国の要救助者らは、救出できた。
更に、冒険の目的まで達成したのだから驚きである。
近年とんと役に立っていない忍者が活躍してしまったのだから世論は一気に傾く。
世界忍者の存続であった。

なんとか存続させる方向に傾いてはいたが、やはり主流の星見予算の都合でたいした予算は出ないとなる。
ここで、白羽の矢がたったのが、ちゃきであった。
「日頃、仕事してないんだから、それくらいやれ」と摂政の幽に言われたちゃきが、いやいや動き出す。
とはいえ一朝一夕で出来ることではなかった。
仕方ないので、仕事をほおって釣りをしていた。
愛用の竹竿を持って、いつもの波止場で釣りをしている、そんなときだった。

(…なんでオレに白羽の矢が…はっ!)

世界でもっとも単純な発想がこの瞬間ポップアップした!
そう、体格がなければ近づかなければいい。
るしにゃん王国には竹材産業があるということを思い出すと早速、弓の開発をちゃきは開始する。
しなりのある竹材を用いるだけでもそれなりのものが出来たが、やはりここは更なる開発を目指すのがロマン!とかいいつつはっぷん技術士との共同開発が始まる。
竹だけで一体どうするかというと、加工した上での複合化であった。
二層構造という形である程度の威力が出るようになるものの、納得がいかない。
とはいえ、これ以上別の材料を使うだけの予算もない。
そんな時、炭焼き小屋から帰る国民を見てちゃきは思い立ったように竹材を炭焼き小屋に持ち込むとそれらを炭化させ始めた。
そう。つまり、竹材から作れる強度のある物質グラファイトカーボンだった。
さっそく、それらを芯として開発した弓をもって意気揚々と神殿に持ち込んだちゃきにS43はこういった。

「あれ?ちゃきさん和弓つくったの?」
「え?そうなの?」

竹材をフル活用した結果、それは、和弓とほぼ同じ構造となっていたのであった。
自国での開発が容易となった新型コンポジットボウで旧来の世界忍者たちは、詠唱部隊くらいの活躍ができたらいいにゃーっとChessを中心に考えていたのであった。

[文章:ちゃき]


弓兵の弓 タイプA [作画:はっぷん]


弓兵の弓 タイプB [作画:はっぷん]


○るしにゃんぼう
・概略
忍者の系譜が見捨てられつつある今の時代に逆転の一撃を加えるべく次世代忍者の主力兵器として開発された射撃武器。複合弓の和弓と単弓型の洋弓の2タイプがある。
ちゃきが発案及び基礎開発を行い第一世代として竹を用いた和弓が作られ、その結果をうけてS43が楡の木を用いた洋弓を開発した。
和弓は状況に応じて使用する弓を変更し、それぞれの持つ長所を活かし短所を補うように運用される。

・るしにゃんあろー
はっぷんがデザインしたるしにゃんぼうに番える矢で、陰縫用と陽炎用にそれぞれ2種類ずつ開発され、実装直前にもう片方の弓でも使用可能なように矢筈と弓の弦を統一された。
それぞれの共通点として忍者の系譜らしく白兵戦もこなすことも可能なように世界忍者に配られる手裏剣と同じ製法・同じ素材で作られた普通の矢の数倍の大きさもある鏃が取り付けられ、
また折れにくくするために素材そのものの強度も上げかつ外力に強い中空構造の芯が採用されている。
だが、この仕様は白兵戦のために矢を1度に数本を振り回すだけならまだしも、射撃戦を行うために数十本と矢筒に収め携帯した場合に忍者としての機動力を大きく阻害してしまうほどの重量があるという欠点を生み出してしまった。

この欠点を解消するために採用されたのが風の中心を探すものが学んだ浮かぶ鞄の技術である。
彼らが国に提出した浮かぶ鞄の原理とは魔法を用いた重力操作による鞄周囲の無重力化や斥力の発生であった。
一番重量のあるやじりを中心にそれをかけることで矢の重量を0とし、際限なく矢を持つことができるようにしたのだ。

これで完成かと思いきや、さらに問題が表出した。
重量が0では矢を射出した後外れた矢は空気抵抗で減速し、最後には一定の地点に浮遊し続けることになり、周囲に悪影響を及ぼすことに気づいたのだ。
それが上空に放ったものだったとしたら浮遊魔法が何の拍子に解除され地上を攻撃するか分かったものではないし、それ以前に重量が0のままでは重さから来る威力も見込めない。

運用が楽になった変わりに武器としての意味を消失した矢をどうするべきか。
今度は大魔法使い達が頭を抱えるはっぷんを助けた。
中和しての無重力化や斥力の発生がいけないのなら使われている力のベクトルを反転させればいい。
射撃するために必要なら射るときに反転させればいい。
そう考えた彼らは、彼らの大魔法使いの由縁たる詠唱時間・発動範囲・能力の広範囲操作技術を用いて、弓に魔術改竄の術式を組み込むことになった。

弓兵は詠唱戦ができないためその術式の発動に必要な魔力は矢から供給されることになったが、それがかえって幸いし、どのように射出しても最終的には必ず地面に落ちるようになった。
それに改竄後は引力の発生点を鏃の1cm先に設定され、弦に弾かれた矢は本来の加速に加え1cm先に「落ちる」引力がかかって速度が何倍にも上昇し、目標に刺されば速度が殺されてもただの矢にはない引力がその刃を内に食い込ませることが、出来るようになった。

また、弓と矢に魔術親和性を持たせるために竹を焼いたものを鏃の製法に組み込んだところ思わぬ副作用が出てきた。
河の鉄とは砂鉄。
砂鉄のインゴットは純度の高い鉄、玉鋼である。
そして、そこに竹という炭素が加われば炭素と鉄の合金、鋼が出来る。
そしてこの製法で作られた鋼は、切り裂く刃物の代名詞である日本刀に大量に用いられるものであり、敵を貫くための薄い刃を作るのには非常に適していたのだった。

こうして、筋力のないるしにゃん王国の森国人でも充分に威力のある射撃攻撃が可能で、かつ長所である速度を犠牲にすることもない、真の次世代主力装備が完成した。
これはるしにゃん王国全員が一丸となって開発を支援した、その技術の結晶ともいえるだろう。
なお、現在も開発は進行しており、術式改竄を射手の任意で行える方法や改竄内容を多岐に渡らせる方法などの戦術の幅を広げる研究が進められている。

[文章:クレール]

コンポジットボゥの宣伝ポスター [作画:スゥ・アンコ]



○るしにゃん王国の日常

がったーん。
派手な音を立てて、王宮の一つの扉が開く。
念願であった小笠原での、来須先輩との逢瀬。その思い出に深く深く浸っていた、地面にまで引きずる程の長く黒い髪を持った鷹臣は、その乱暴な音によって現実に引き戻される。
思いきり顔を顰めて、一体誰がこの桃色極まる思いを踏みにじったのかと、根源力1万以下では即死するのではないかという程の恨みを込めた目線を入り口に向けた。
其処にいたのは、一人の――少女風に若作りした、それはもう、その恨みの目線などものともしない、能天気な笑顔を浮かべたピンク髪の女性の姿。

「おみたんー。おみたんーっ。お願いがあるアルよー。」
「断る。っていうか、たん付けで呼ぶな!」

ずかずかと室内に踏み込んできたスゥ・アンコの笑顔混じりのお願いに、小笠原でゲットした先輩の写真を胸にしっかと抱きながらも、1秒もかからぬ即答で却下するものの、基本的にこの女、人の話を聞かない事で巷で有名。
こくこく、首を何度か縦に振った後に背中に隠してあった、つい先日、ちゃきが開発した和弓を、彼女の目前へと突き出す。

「じゃっじゃーん。今週のb…」
「メカじゃないじゃん!っていうかそのネタ危険?!」

ぼかっ。思いきり拳を頭へと向かって振り下ろせば、弓を持ったままに、スゥは床へと蹲った。
大きな瞳に涙をいっぱいに浮かべ、潤んだ瞳で鷹臣を上目遣いで見あげた。別に媚びている訳ではなく。
むしろ媚びるような年齢は過ぎているという話であり。ついでにいえば、相手は少女。この手が通じる訳がない。

「うあーん。おみたんが酷いアルよ。っていうかこのネタわかるって事は年齢詐称疑惑アルよー。」
「煩い! っていうか話が全くズレてるし!早く話して出てってくれないと、私と先輩との思い出が穢れる!」

基本、先輩がらみになると途端に口が悪くなる鷹臣の言葉に全く怯みもせずに、より笑顔を深く、濃くすれば
「お話、聞いてくれるようで、ワタシ、とってもうれしいアル。
 これも王様の為、正義の為、国の為。…今、旬のおみたんなら完璧アルよ。
 ばっちりしっかり、宣伝道具に使われるヨロシv」
そう、無邪気に笑いながら―――、女が弓ともう一つ、取り出したものを見て、鷹臣は顔を青ざめるのであった。


「ぎゃあああああいやああああああああ!!!!」

城中に響き渡る少女の悲鳴に、城中の人々が何事かと、声のする方向へと駆けていく。
まず最初にたどり着いた人物――S43の視界に飛び込んできたのは、
その長く黒く、綺麗な黒い髪が無残にザンバラに切られた鷹臣の姿。マジ泣きしながらS43の胸の中に飛び込んでいく、というよりかは。
むしろその人物を盾にするような形を取りながら、額を身体に押し付けて、えぐえぐと泣いた。

「アンコがー…っ、アンコがー……っ。」
「ちょ、何、どうしたんですか。ちゃんと一から説明してください。」

取り乱した鷹臣は、S43の宥める言葉にもちっとも状況を説明しようとはせずに、短くなった髪のままに、ただひたすら怯えたように咽び泣く。
どうしたものかと途方にくれそうになった頃、廊下の向こう側から、スキップで――、ハサミと、弓と矢筒、そして――何故か水着を持ったアンコの姿が目に入った。
ああ…またか。そんな思いが苦労症のS43の胸によぎったとかよぎらなかったとかしたらしいが、兎に角、出来るだけ落ち着いて、妙な歌詞の歌を口ずさみながら近づくアンコへと口を開き。

「アンコさん。鷹臣さんが泣いてるんですが、何か知りませんか。」
「それ嬉し泣きアルよ。ほーら、おみたん、良い子だからこっちに来て、さっきの続き、やっちゃうアルよー。」

まるで猫でも掴まえるかのように、泣きじゃくる鷹臣の首根っこを引っつかみ、
あの、オーマネーム持ちのS43が、「そこまでだ!」で止める暇すら与えず、まるで風のように去っていくピンク髪を見つめて、国一番のおじさまは呆然と廊下に取り残されるのだった。



数日後。

城の壁、全てを埋め尽くすように、まるで真夏のビールのグラビアポスターのようなエロいノリで、弓の宣伝ポスターが張り出されていた。
乳やら上目使いやら、媚びれる要素を全て媚びた結果、あきらかに弓の方がオマケになった雰囲気が否めないのだが、そこらへんは、目を引けばそれでよし、をモットーにしたアンコの作戦の結果である。
どうせ弓があるのだから、と天使風味にした結果、妙なコスプレ感が出て、よりカオスな雰囲気になった事にはまるで気づいていなかった。

まず、一番初めにそのポスターを見つけたのは、最近自室に篭りがちで、国の仕事よりはもっぱら自分の身体の管理で精一杯の王様だった。
「…………ッ!」
そして言葉もなく鼻血を出して倒れて、いつもの如く、名医にお世話になる事になった。

これだけ目立つポスターであれば、国民の皆が、様々な反応を示す。
そう、例にあげるならば―――

S43がこの国に戻ってきた事で、増殖したネコリスを、それはそれは幸せそうに追っているテルが、そのポスターに気づいた時には、思わずS43が植えた梅の木の木陰に隠れ、ネコリスと共に、
「おみさん……かわうい!」
そう気づけば呟いた。

羊…、じゃない、執事プレイに最近目覚めたらしい、ノーマ・リーは、執事というよりかはむしろ、コックの類に近い、パイの作成に情熱を注ぐ為、様々な果物を買いに行った、その帰りに見かけて
「や……やっちゃった……、やっちゃったよ……!」
ははははは、と虚ろな顔で笑った。…買った果物を、気づけば笑いながら落としていた。

「!これは…! ま、まぁ良い喧伝にはなりますね…」
真っ赤になりつつ、でも横目でチラ見しながら、それでも七海はしっかりとポスターを記憶に残した。
国自慢の技族であり、いつも、褒め称えられる七海の、その割にはかなりむっつりな駄目台詞を、相棒であるイセスは聞き逃さなかった。

特に本日は戦闘もなく、便利アイテムされる事もなく平和に国内の散歩を楽しんでいたS43は、そのポスターを見かけて固まった。
「いかん!藩王が!」
「るしふぁさんが、発情してしまう!」
そう叫んだかと思えば、しばき杖を握り締め、王室に向かうのだった。
――…既に、手遅れなのも知らずに。

国のアイドルその1が確定されているクレールは、その自覚なく、のんびりと今晩のご飯の内容を考えながらその場を通りかかった。
顔を赤くする事もなく、その肌の露出の多さに眉を寄せるわけでもなく、
「・・・そっか。鷹臣さんは来須を追いかけるために弓兵になったんですね。」
天然属性の恐ろしさを垣間見せる台詞を、のんびり、ほんわか、呟くのだった。

ポスターが張り出されてから、ほぼ半日。そろそろ辺りが夕暮れによって赤く染まる頃。
また、城の壁の前を通りかかった男が一人。武器開発において、国の右に出るものは存在しないと言われる、はっぷんである。――ポスターを眺め、…そして、
(……おみさん思ったよりあるな)
と、うっかり口に出そうとしたが背後から寒気を感じたので止めた、が。
この森国人の国で、そのような事は思っただけで既にアウトだ、という事を、はっぷんは忘れていた。
「はっぷんさん・・・」
ぽつり。何処から湧き出たように影から一人の黒髪の少女が現れて、薄く笑った。

(以下、残虐すぎる表現の為、お書きする事が出来ません。ご了承ください。)

――そして、城の壁もまた、夕暮れと同じ色に染まったのだった。



/*/
「だって、地味極まる、うちの国アルよ?これぐらいインパクトある事しないと、その内、全国から忘れ去られちゃうアルよ。」
そう、犯人であるスゥ・アンコは、いつもの通り、にっこりと笑うのだが。

「たのしーたのしーじぇのさいど〜」

そう、…今回、一番の被害者である、国のアイドルに祭り上げられてしまった鷹臣は、薄く暗い笑みを浮かべ、奇妙なリズムの曲をトーンの低い音程で口ずさみながら、自室で、一人、刃を磨ぎ、来る日に備えている事は――まだ、この時は知らなかった。


余談、ではあるが。
……これに伴い、国の品位が、評価値−5 ぐらいになった気がするが、おそらくは気のせいである。

[文章:スゥ・アンコ 協力:るしにゃん国民一同]

イラスト:
要点
長い耳・長い髪(男女とも)・やせぎす・絹の服装・頭環
/猫耳・尻尾
/長弓・矢筒
/世界の国をモチーフにした忍者装束(例:イギリス忍者)・尻尾・悪そうな目
周辺環境
森の王宮
/なし
/森
/城の屋根

文章:
要点


/長弓

周辺環境
森の王宮
/なし
/森


継承:派生元 「高位森国人+猫妖精+忍者+世界忍者」
要点
長い耳・長い髪(男女とも)・やせぎす・絹の服装・頭環
/猫耳・尻尾
/***
/世界の国をモチーフにした忍者装束(例:イギリス忍者)・尻尾・悪そうな目
周辺環境
森の王宮
/なし
/***
/城の屋根