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高位森国人+世界移動存在+魔法使い+風の中心を探すもの

“――これらを護るためにシオネアラダと約束だ 俺はこの世の誰のためではなく、ただ貴方の心を護るのだと”
“…いい条項だね”
“……エースだってそれを忘れてるけどな”
  神聖同盟の世界介入条項を暗唱するヴィクトリー 03908002


○魔法使いの帰還
あの大災害の後,るしにゃん王国の魔法使いは深刻な迫害を受けていた。
災害を引き起こした者が魔法使いの長ともいうべき男だったからである。
迫害は熾烈を極め,命を落とすものもあったが,彼らは逃げることはあれそれに抗うことなく受け入れていた。
反撃によって罪無き者を傷つけることを望まず,その男を引き止めることができなかった自らを罰するためだったのかもしれない。
やがて,彼らと共にいて罰を受けていても彼らを苦しめるだけであるということを察知した魔法使い達は,
金星の塔の者として誰とも知れず杖と浮かぶ鞄を持ち,
やせぎすな肉体と長い耳と髪,そして頭環を隠すフードがついた絹の旅装束に身を包んで森の王宮より旅立った。
ただ迫害から逃れるのではなく,迫害をする森国人を苦しめたくないとする純真な思いであった。

旅立った彼らの行く道は過酷を究めた。
NW全域で森国人への差別が起こっており,居場所と呼べる場所はほとんどなかった。
当時聯合を結んでいたナニワアームズとFEGの政府は友好的であっても,迷惑はかけられないと長居をすることもなく,
広い荒地をただ歩き続けた。そしていつしか彼らは一つの結論を得る。もっと遠くへ行こうと。
たとえ言葉が通じなくても,文化がNWと全然違っても,魔法使いがいることでそこに住む者が傷つくことがないような場所へ。
彼らの知識を総動員して得たその手段は,世界移動であった。
/*/
それは、リューンの活動が引き起こす超自然現象であるワールドタイムゲートやワールドクロス現象を利用して、
人間、あるいはそれに準ずる人型のものを相対的に連続している世界へ転移させるものである。
その方法として可能性移動、クロス移動、物理移動、未命名の第四の移動方法の4種類が確認されているものの、
いずれも移動方法自体の詳細は未だ伏せられている部分が多い。
しかし、数少ない情報の中に世界移動の危険性について指摘されているものがある。
それはゲートによる情報補完が行われる前に元の世界に戻らなければ、移動していた人物は死んだものと世界に認識されることである。
一度そうなると死亡の情報が七つの世界をめぐるため、永遠に世界移動し続けなくてはやがて情報補完によって世界に殺されてしまう。
また、世界移動行為自体にも非常に危険があると記されている文献も存在している。
これらのリスクを承知した上で、るしにゃん王国の魔法使い達はこの方法を選択したのであった。
きっと世界移動を行うとき、彼らは王宮を出たときよりも純真そうな顔をしていたことだろう。
もう、故郷の人々を傷つけなくていいのだから。
/*/
彼が救われ,森国に緑が戻り,魔法の再興がはじまろうとするころ。
ひとり,またひとりと,いくつもの世界を巡った金星の塔の住人は王国の街角に戻ってきた。
七つの世界の仕組みを肌で感じ,今までにない言語や文化に触れ,新しい知識を獲得した彼ら。
理力使いの名は捨てたものの,それを代償に得た数多の知識はその身に宿る魔法の技を多面的に支援し,磨き上げていた。

そして彼らは再び塔に戻り、その知識を安全な範囲で、また正しい形で伝えるべく、写本を作らない、世界で1冊の本として著しはじめた。
婚期を逃したともはや結婚は諦めていたが,自らの知識を伝授した相手は知識的,精神的子孫といえるものである。
それこそは、世界の謎を妻とする彼らが得る、ひとつの夢なのであった。

(右イラスト:荒野にてゲートを用いた世界移動を行うイメージ 来須・A・鷹臣 作画)
原寸の巨大サイズ… 情報分解中  / 情報分解前 


○またあるいは,それはひとつの恋の物語
彼は、砂埃舞う絶望の荒野に立っていた。
ともすれば、直ぐ目の前すら見えなくなってしまうような視界の中を、彼は迷うことなく、旅装束をはためかせ、進んでいく。
何かに導かれるように。その、切れ長の目に何か見えぬものを映しているかのように。
その手に持った杖と、宙に浮かぶ鞄を供に、一歩、また一歩と。
金星の塔の星見司は、フィールドワークに出る際に、儀式として、この絶望の荒野に立ち寄る。だが、彼の歩みはいつもの星見司の儀式としてのそれとは、やや異なっていた。
何かに追い詰められているかのように、そして何かを追いかけているような。
そんな切実さに満ちた、足取り。

突然、突風が彼を襲った。
何事も無いかのように、瞳を閉じ、杖を前に掲げて突風をやり過ごす。
場が収まるのを感じて瞳を再び開いた時、今迄の風が嘘のように収まっており、そして辺りには青白い精霊達が舞い降りていた。

そして、彼は、きっ、と空を見据える。

その視線の先には―――穴が。

空に、青い大穴が開いていた。

ワールドタイムゲートと呼ばれる、それ。異世界への門。
ごく一部の、限られたものにしか見えないそれを、彼は確かに見ていた。

そして、力強く、挑むように呟く。

『世界の一つや二つ、違うくらいで、人の恋路を邪魔出来ると思わないで欲しいものだな。』

彼の周りに降る精霊が、より一層数を増し、彼の身体は青白い光に包まれた。
そして、次第に光の粒子に、情報に分解され、空へと昇っていく。

杖も、鞄も。何もかも。

そうして、彼はこの世界に別れを告げた。

彼の呟いた、愛しい人の名の響きを、最後に残して。

大切なものを、取り戻す為に。


○それを戒める心
テックレベルオーバー、世界を壊しかねない技術。
未だその明確な定義すらも分からぬまま、ニューワールドの技術はそこに至ろうとしている。
そしてその幻影は、ついにるしにゃん王国にも姿を現した。
精霊機導弾のころより能力が知られてきたこの「古い」現象もまた、TLOかもしれないのである。

るしにゃん王国の魔法使い達が世界移動存在として帰還を果たしてからしばらくの事。彼らは研究の中でひとつの事実を気づくに至る。
「あらゆる世界で等しく行える世界移動能力はテックレベルの限界を超えているのではないか?」
人を傷つけない方法として魔法使いが手に入れたはずの世界移動能力が、今度は世界を傷つける。
この事実の深刻さは、すぐに殆どの魔法使いが理解した。
TLOによって世界が壊れるのを嫌うゆえに人を滅ぼそうとする竜がいるからではない。
ふるさとを焦土にした何かに、自ら歩み寄ってしまったのだ。
そしてその事実に心が痛めば痛むほど、悲しみが深ければ深いほどに、まるで何かのおとぎばなしのように、彼らはなにかを探しはじめた。
自らを正当化するためでなく、同じ立場に陥ってしまっているだろうどこかの誰かを助けるために。
その時を重ねること2Tにして、彼らはひとつの文章をまとめあげる。

「星見司として、あるいは魔法使いとして、風を追うすべを追い求めた場合、
 その究極は自らの目で他世界を見ることができる世界移動能力であることは自明の理であり、
 るしにゃん王国の一部の魔法使いがそうしたように、飽くなき探求の果てに見出す可能性のあるものである。
 つまり、世界移動能力の封印はすなわち世界の謎の探求を止めるに等しく、それは星見司の死を意味するのではないだろうか。」
「世界移動能力がTLOであり、またそれを封印する手立てが厳しいものであるのならば、
 それを習得・封印するか否は個人の知識,探究心,そして才能に任せる以外にないと思われる。
 その上で能動的に能力を平等あるいは無差別に伝承することを禁じ、
 行為は心によって抑制をすればよいと、我々は考える。」
奇しくも知恵者の言葉と類似していることに、偶然以上の意味を汲み取ることは容易であろう。

またある研究者は
るしにゃん王国において世界移動能力を保有するのは魔法使いだけで、心優しい彼らがそれを悪事に使うということは考えられず、
そもそもワールドクロス状態やワールドタイムゲートの活性化という条件がないと世界移動できないのでは、TLOとはいえないのではないか、
という見解を示している。
しかし魔法使いが悪に染まる可能性は否定できず、また世界移動能力がさらなる発展を示す可能性は否めない。
そのためるしにゃん王国の星見司は、抑制する心を明文化することでさらなる鎖をかけることにした。

○るしにゃん王国・世界介入条項
1.世界介入を可能な限り避ける
2.世界介入をする場合は現地の人間に可能な限り解決させる
3.現地のものを可能な限り傷つけない。現地に影響や記憶を残さない
4.これらを護るためにシオネアラダと約束だ。この世の誰のためではなく、ただ貴方の心を護るのだと
5.シオネアラダを信じぬのなら、自らの子の心を護るのだと。

最後に違う字体・文体で記された、明らかに蛇足と分かる第5項は、
政庁の誰かは不明なれど、王国民のために加筆したものであることは明らかである。
それは未来にいる自らの知を著した本の読者であり、同居する弟子であったり、あるいは近所に住む悪ガキかもしれない。(もちろん実の子でもいいわけだけれど)
その子らを悲しませないため、そして世界を壊さないために。魔法使い達は世界移動をするたびに条項を思い出しては改めて心に刻むのである。


要点・周辺環境
 高位森国人長い耳,長い髪(男女とも),やせぎす,絹の服装,頭環
森の王宮
 世界移動存在人,ワールドタイムゲート,情報分解
荒野
 魔法使い婚期を逃した,純真そうな顔
街角
 風の中心を探すもの旅装束,浮かぶ鞄
精霊の降る荒野

**体 格筋 力耐久力外 見敏 捷器 用感 覚知 識幸 運
高位森国人 +100+2+20+1+20
世界移動存在 +4+4+4+2+3+3+3+4+3
魔法使い 0-1-10-1+1+2+20
風の中心を探すもの 00000+30+30
HQボーナス        1 
合計 5334476123

特殊 総消費燃料:*万t
 *高位森国人は根源力25000以下は着用できない。
 *高位森国人は一般行為判定を伴うイベントに出るたびに食料1万tを消費する。
 *魔法使いは詠唱戦行為ができ、この時、詠唱戦((知識+器用)÷2)の攻撃判定は評価+2され、燃料は必ず−1万tされる。
 *魔法使いは5m先までの目標に自らの人生を語ることで人間相手なら泣かせて前を見えなくさせ、相手の感覚力を評価−4に低下させることができる。
  ただし、相手も魔法使い、アラダである場合は効果がない。
 *風の中心を探すものは世界解析ができる。
 *風の中心を探すものは対象の特殊を一つ、無効化できる。
 *風の中心を探すものはI=Dに乗っていないとき、独自で近距離戦闘行為ができ、この時、選択によって近距離戦闘の攻撃判定は評価+2できる。
  補正を選択した時は燃料1万tを必ず消費する。
 *世界移動存在の着用には根源力25万が必要になる。
 *世界移動存在はレベル1の世界移動が出来る。
 *世界移動存在は回避に世界移動を使える。(必ず成功する)
 *世界移動存在は攻撃に世界移動を使える。(相手が移動して回避するのを防ぐ)

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 高位森国人賢者(職業),動物使い(職業),弓兵(職業),藩王(特別職業)
 世界移動存在世界消滅魔法陣の設置(強制イベント),海法狩り(強制イベント),来須、るしにゃんの敵(強制ACE),世界移動の激増(強制イベント)
 魔法使い大魔法使い(職業),風を追う者(職業),海法紀光(ACE)
 風の中心を探すもの世界移動存在(職業),精霊使い(職業),クリサリス・ミルヒ(ACE),ブラック=レイディ(ACE)