登録アイドレス  個人着用アイドレス 03

森国人+魔法使い+理力使い+ネコリスの友


――第一問。ネコリスの鳴き声はなに?
テル:にゃー?
――正解。貴方はメッセージで犬の翻訳する言葉を聴いた。にゃー、にゃー、にゃ、にゃという声がする。
――第二問。ネコリスはなんと言っている?
テル:……。空の柱を、追いましょう
――正解。なんか意味が通じた。ネコリスファミリーは走っていった。
                    〜〜EV103 帰る場所を守るための戦いより抜粋


<友人であるネコリスを肩に乗せたりして戯れる魔法使い 作画:テル>

○とものあかし
「その昔、人もネコリスも空を見上げていました――」
他国の者から見れば森にしか見えないような森国人の住まい。その街角―それも森の中のようにしか見えない―に、声が響く。
長い杖を脇に立てかけた、やせぎすの老魔法使いである。
独り身で、森の奥や二つの塔で魔法陣や理力の研究を細々と進める彼であったが、
瞑想通信の発達した現在でも、こうやって度々村や町に出てきては、子供たちに本に記された物語を読み聞かせているのであった。
周りを見れば確かに、彼の古めかしい物語を聞くために純真そうな子供たちが集まっている。
「――でも人はとても愚かがすぎて、空を見上げることをやめました――」
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 友人であることは、本来職業ではない。友情は、仕事ではないからだ。
 なのになぜ、彼らは友であると公言するのか?
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「――人には、友達がいなくなりました。
 そのことに気づいた何人かは自分の言葉を悔やみ、ネコリスの手をとらなかったことを悔やみました。
 そして、その何人かは元の住処を離れ、森の中に住み始めたのです。
 そして長い時をかけ、皮の衣服を纏い、河の鉄で道具を作り、木を育て、森の動物と心を通わせていきました――」
/*/
 それは、簡単なこたえであった。
 どんなに世界がはなれていても。どんなに時と場所がはなれていても。
 わたしはここにいるよと。あなたの友はここにいるよと。
 大切なことは思うこと。 思ってそして願うこと。遠いあなたに幸あるように。
 意味あるなしは関係なく、心がそばにあるように。
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「――たとえ、もう一緒に空を見上げることができなくても。
 いつかまた、自分でなくてもその子供が、孫が、めぐり合うときがあるかもしれないから。
 そのときに仲直りが出来るよう、ネコリスが住む場所を守ろうと思っていたのでした。
 そうして彼らは、森国人となったのです。」
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 恋にも似た、永遠の友情の証明として、彼らは名乗るのである。
 ネコリスの、友であると。
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「あ、ネコリスだー。」「ねこりすー」
視線を上に移すと、彼の話す物語を聞きにきたのか、ネコリスが数匹、近くの枝におりてきていた。中でも、模様の少し違う一匹だけが老魔法使いの肩に乗る。
子供たちが声をあげ、喜び勇んで駆け寄ろうとする。ネコリスはその勢いに驚き、上の梢へと逃げていった。
つまらなさそうに口を尖らせる子供たち。老魔法使いが彼らに声をかける。
「これこれ、そんなふうに騒いだらネコリスも驚いてしまうよ。」
「えー」「でもぉー。」
何かいいたげな子供たちに優しい笑顔を向けたあと、老魔法使いはネコリスを見て、おだやかに声をあげる。
「おうい、子供たちはきみたちと友達になりたいだけだそうだ。来てくれるかい?」
魔法使いの呼びかけに仲間同士でしばらく顔を見合わせるネコリス。しばらくして

   にゃんにゃんちゅー

と鳴いたあと、彼らは森の奥へと消えていった。
魔法使いはその声に満足したように微笑む。もちろん子供たちにはわけがわからない。一人が、おずおずと尋ねた。
「ねえ、ネコリスはなんていったの?」
魔法使いはその問いに一度遠くに目を向けたあと、優しく、ゆっくりと答えた。
「もう夕方だからまた明日遊ぼう、だとさ。ほら、君たちももう帰りなさい。」
見れば、るしにゃんの西の森にある金星の塔、その向こうに空を赤く燃やす夕日が、今まさに森の中に沈むときであった。


要点・周辺環境
 森国人長い耳,長い髪(男女とも),やせぎす,皮の服装
森の中の塔,大水車,一見して森に見える村,河の鉄,高度な瞑想通信
 魔法使い婚期を逃した,純真そうな顔
街角
 理力使い長い杖
魔法陣
 ネコリスの友ネコリス,テル,肩に乗せてる
海法よけ藩国

**体 格筋 力耐久力外 見敏 捷器 用感 覚知 識幸 運
森国人 -10-1+1+10+1+10
魔法使い 0-1-10-1+1+2+20
理力使い 0-1-10-1+1+1+10
ネコリスの友 +1+1+1+8+1+9+2+9+2
合計 0-1-290116132

特殊 総消費燃料:2万t
 *森国人の生産 = ,,,(生産フェイズごとに)生物資源+1万t、食料−1万t。
 *森国人のイベント時食料消費 = ,,,(一般行為判定を伴うイベントに参加するごとに)食料−1万t。
 *ネコリスの友の世界移動能力 = ,,,レベル1の世界移動が出来る。
 *理力使いの詠唱戦闘行為補正 = 詠唱戦闘行為,,条件発動,(詠唱戦闘での)攻撃、評価+2、燃料−1万t。
 *魔法使いの詠唱戦闘行為補正 = 詠唱戦闘行為,,条件発動,(詠唱戦闘での)攻撃、評価+2、燃料−1万t。
 *魔法使いの身上話能力 = ,,任意発動,5m先までの目標に自らの人生を語ることで<魔法使いの身上話>を付与する。
  人間相手なら泣かせて前を見えなくさせることができる。ただし、相手も魔法使い、アラダである場合は効果がない。

L:魔法使いの身上話 = {
 t:名称 = 魔法使いの身上話(定義)
 t:評価 = なし
 t:特殊 = {
  *魔法使いの身上話の定義アイドレスカテゴリ = ,,,能力補正。
  *魔法使いの身上話の能力補正 = ,,,感覚、評価−4。
 }

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 森国人猫妖精(職業),理力使い(職業),忍者(職業),整備士(職業),医師(職業),魔法使い(職業)
観光地(施設),国歌(絶技),寮(施設),食糧生産地(施設),高位森国人(人)
 魔法使い大魔法使い(職業),風を追う者(職業),海法紀光(ACE)
 理力使い魔法使い(職業),幻影使い(職業),理力建築士(職業)
 ネコリスの友ネコリス友の会(職業),風渡り(人),かのものの影(強制イベント),真なる理力使い(職業)


/*/
 もうひとつの、考え方がある。
 なぜ、ネコリスの友が風を追う者から派生しているのか? その解。
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子供達を見送った老魔法使いは、淡い光を灯して家路につく。その途中、彼はもう一度本を開き、読み聞かせた物語を反芻していた。
その本はかつて星見の勉強として海法よけ藩国に留学した折に見つけたものであった。思い起こせばあのネコリスと仲が良くなったのも、この本を見つけた頃だったろうか。
しかし、その最後に、森に移り住む人の物語はない。

「……私はこう思います。もしも、人がもう一度空を見上げたら、手が届かないとしても手を伸ばしたら、そうしたら。少なくとも友達だけでも残ったのではないのかと。」

小さな声で、真実の物語を読み上げる。
その1語ごとに、やせぎすな身体に力がやどるようで、その温和だった目は夢を追い求める少年のように若返っていく。
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 ヒトはその背に風を乗せる翼を持たない。でも、思うことはできる。
 風に乗る心地よさを思い描くことができる。見たこともない別の世界を考えることができる。
 そうして人は、何も出来なくても空を見上げるのだ。翼を持たなくても手を伸ばすのだ。
 それこそは、風を追う、星を見る者の姿ではないのか。
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背筋までもが伸びたように見える老魔法使いは空を見上げ、瞬き始める星を見つけた。
「早く戻るかね。またも小さき友を失わないために。」
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 ゆえに。星見司達の間では隠喩を込めてこの名は呼ばれる。
 とうてい届きそうにもない夢にもひるまず、上を向いて、手を伸ばし、世界の真実を求め探求を続けるものに。
 「彼こそ、ネコリスの友にふさわしい」と。
 そして、たまには躓いたり、淀んでしまうかもしれないけれど。それでも前を向き続けるのならば。
 数多の物語を学び、清い夢にまっすぐひたむきな者を、どのネコリスが嫌うのだろうか。
/*/
夜の森の中、こころなしか歩みまでもが力強くなった老魔法使い。
その背中を、何匹ものネコリスが見送っていた。