今月の標語:テスト前の一夜漬け禁止!

在寮生のインタビュー

るしにゃん国民Aさん(22歳・男性)
「この寮は住み心地がいいよね。学校に近いし、森の中で静かなところもいいし。かといって別段不便なわけじゃないしな。買い出しは大学前の商店街に行けばいいから、正味10分いらずにお店まで行けるし、学校が開いているうちは生協に行ったっていい。建物も、お風呂も綺麗だし。ここら辺はメードさんの御蔭かな。そうそう、なんといってもメードさん。住み込みで働いてくれてるんだけれど、これが親切だし、物腰柔らかだし、家事万能だし。なにより可愛いんだよなぁ。いいよね、メードさん。男のロマンだと思う。そうそう、そういえば、メードさんの中に男が混じっているって噂があるんだけれど、これはどう見てもガセっぽいんだよなぁ。みんなどこからどう見ても立派な女の子だし。」

留学生Bさん(19歳・女性)
「私、親元から初めて離れて暮らすことになったんだけれど、この寮は安心よ、って話を親が聞いてきて此処に住むことになったの。最初は学校の寮なんてって思ってたけれど、入寮して正解だったわ。こんな素敵なところだったなんて。みんな気さくで、すぐこの国の風習や流儀がわからなかったら助けてくれるわ。ここでの学校生活はとても楽しいの。最近は、暇な時間を見繕って、メードさんに料理を教えてもらってるの。女の子なんだから、自炊の一つくらいできないとね。お返しに、うちの郷土料理を教えてあげてるわ。え、メードさんの中に男?あ、それって噂に聞く医学院学生寮七不思議のひとつね。んー、確かに時々格好いいなっていう感じのメードさんはいるけれど、あの人はやっぱり女性だし……。やっぱり噂じゃない?」

メードさん(?歳・女性?)
「え、ぼ、僕、いや、私ですか?ええと、誰かほかの人にしていただいた方が……。あう、わかりました。お答えさせていただきます。
ここの寮について、ですか?ここの寮は、いい寮ですよ。学生さん達は、皆さんいい方々ばかりですからね。皆さん元気で、朝会うと、おはようって声をかけて下さるんです。こちらもとてもすがすがしい気分で働かせていただいてます。私たちのお仕事なのに、申し訳ないながら手伝ってくださったりすることもしょっちゅうです。皆さんお勉強でお忙しいでしょうに。私たちメードは、こんな素敵な学生さんたちの生活のサポートを誠心誠意させていただいて、立派なお医者さんになられるのを、少しでもお手伝いできれば嬉しいです。………、め、メードに男ですか。さぁ……、ええと、わかりません。あの、何処からそんな噂が……?学生寮七不思議?……あの人たち、絶対面白がってる………いえ、此方の話です。私たち、一緒に暮してますが、全員女性ですよ。もちろん、管理人さんには男性の方がいらっしゃいますが。で、では、用がありますので、これで!」

ある猫士の一日(許諾を得て彼の日記より抜粋)

ボクはこれから新人猫士として王国の猫士寮で生活を始める。だから心機一転、日記でもつけてみようと思う。
今日の朝は先輩達の声で目を覚ます。ボクの部屋は4人部屋で、二匹は先輩、もう一匹はボクと同期の子。
もうすこしまどろみたいボクは薄く目をあけながら軽く寝返りをうってみたけれど、
一度起こされてしまうと周囲が気になってしょうがない。ほどなくしてベッドから降りた。
その場で簡単に顔を洗う。まだこのベッドに慣れていないのか、右と左のヒゲに別々の寝癖がついている。
しばらく抵抗を試みたけれど寝癖の呪いは解けず、諦めて食堂へ。
今日の朝ごはんは焼き魚とパンとぬるいお水。定番メニューだけど、だからこそ飽きない味。

朝ごはんの途中から爪が気になってしょうがなかったのでネイルサロンに寄ってみた。
爪とぎがいっぱいあってときめく、と先輩に言われたが、確かにこれは嬉しい。どれで研いでも怒られないのだから。
そしてボクは柔らかいほうから2番目の板が気に入った。ボクの爪は柔らかいほうらしい。
一番硬い板で研ぐ人もいるみたいだ、どんな人だろう。これからの寮生活で会うのが楽しみである。
この前念入りに毛づくろいをしたばかりなのでブラッシングルームはどうしようか迷ったが、
ポールブラシで軽く身体をこするだけして、外に出た。今日は警察署で警官の訓練を受ける日だ。
同じ部屋の子は病院で研修らしい。門の前で待ち合わせて、途中まで一緒に歩いていった。

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研修の後、散歩も兼ねて別の帰り道を歩いたらすっかり迷子になってしまった。
日も暮れ、お腹もすいてとぼとぼと歩くこと小一時間、唐突に甘い匂いがした。
誰かがいると思ってその方向を頼りに歩いていくと、トラリスの群れに出会った。
甘い匂いはトラリスが桃を食べている匂いだったようだ。
彼らは大きな見かけによらず気さくで事情を話すと簡単に帰り道を教えてくれた。しかも案内トラリスまでつけてくれて。
おかげでその後はすんなりと帰ってこれた。先輩からは大目玉もくらう。まだ拳骨がいたい。

明日は門限を過ぎた罰で今日より長く訓練の時間が入るらしい。
だから行き帰りも先輩と一緒に早くでて遅く帰らないといけない。
罰にちょっとへこんでたら、同期の子が励ましてくれた。
きっとまた迷子になって、怪我でもしないようについててくれるんだよ。
二人ともすごく心配してたんだもの。だって。
…ちょっと安心した。

#なお、2日目以降の日記は白紙である。
#曰く、次の日は長時間の訓練で余力がなくなるほど疲れ果てため日記を書けず、
#三日目は休日だったが、二日目で失敗したことでモチベーションがなくなったらしい。