復興第三段階の推移(クリックで拡大)
10508002 第三段階
○概略
この一週間の間、大きな変動があった。
函を用いてのるしにゃん王国及び海法避け藩国への救済活動である。
函での活動は各国より寄せられた活動案を元に様々な対策が行われ、
その結果としてインフラ復帰に求められる資金をおよそ25%にまで圧縮することに成功した、
しかしそれでも必要とされる金額は両国合わせて1000億を越えるものであり、各藩国の財政難からも、
全額を募金で賄うことはできないだろうとの予測が立てられていた。
しかし、S43捜索のための各国の戦闘部隊の藩国滞在により状況は大きく変動する。
彼らの多くはるしにゃんの村で復興に求められる土木工事作業の肩代わりを志願し、その作業は大いに進んだ。
このことはただ復興の速度が進んだというだけでなく、森国人がまだ見捨てられていないということを国民達が気づくきっかけとなり、
人の温かさに感謝するとともに彼らの士気を大きく上げる結果となった。
また、各国の復興支援及びS43捜索活動は他国の国民達にも大きく心を動かすものがあり、
主として西国人の豪商らから合計1100億相当もの寄付が寄せられた。
国家からの寄付も115億を越えるものであったが民間からの寄付には大きく差を開けることとなり、
結果として、民間主導の西国人の文化を基とするインフラの復活が始まった。
そして、施設の復興を民間に委ねる形となったるしにゃん政庁は、その代わりに内政のシステム再構築に力を入れることにした。
その代表的なものが教育システムの再建である。
かつて星見司の国とも言われていたるしにゃんの施設が復興するということは、そこにある星見司由来の施設も復興するということである。
星見司と魔法使いに対するイメージが悪い現在、このことは非常に問題となる恐れがあると判断した政庁は
星見台をはじめとする星見司の施設を教育システムの一環として組み込み、一般に向けて広く公開することで解決することにした。
実際この対応は功を奏し、るしにゃん王国の教育の質を向上させると共にまたかつて星見が使用していた施設を国民が利用するという形で、
国民達にいまは星見司が活動をしていないという安堵感を与え、どのような眼で見るにしても星見司への理解が進む形になった。
○施設説明
コンクリートジャングル
西国人の文化を基とするインフラの復活の結果として生まれたのが森国に似つかわしい高層ビルである。
居住区域である森林の中にいくつも現れたビルは、殆どが西国人の建築様式に沿ったものであり、
森の外から見る森国の森の中に西国のビルがいくつも刺さっている光景は非常に違和感がある。
ナショナルトラスト運動
この異様な光景に再び森が失われるのではないかと噂するものがあらわれ、
そのために森を護るため、またビルに住むことを拒絶する国民が住まいを護るために、
森の一部を国民達一人一人が所有するナショナルトラスト運動が始まった。
テンダイスでは裏マーケット、スイートホームカンパニーが販売を行い全森国で合わせて5500m2もの森が購入されたが、
それとは別に国民達が自分達の手で森を護るために自国の森を購入し、護る活動が行われているようだ。
星見台
星見台は教育システムの再整備に伴い、学術研究及び教育の最高機関として、再建されることとなった。現実世界でいう、大学に等しい存在である。
現実世界とやや違うのは高校に相当する教育機関がるしにゃん王国にはないため、下位の学校と星見台とで高校の機能を分割している点にあり、
星見台では全学部共通の一般教養を収得した後に法学、文学、経済学、理学、工学を専門的に学習することが出来る。
破壊される前の星見台は世界の謎を追う星見司だけが利用している形であったためこの施設の再建に国民は否定的であったが、
懇切丁寧な事前説明及び建築後の全図面を公開しての詳細な見学会を通じて納得・賛同し、生まれ変わった星見台は国民からの支持を受けながら活動を開始することができた。
星見小学校
星見小学校とは、正式名称を「星見台学舎」という教育システムの再整備に伴い建築された星見台に併設される学舎である。
大学に相当する施設なのに「小学校」と呼ばれるのは、5学問を修める場所にしてはその建築物が余りにも小さいからである。
あくまで見た目は。
中に入れば分かることだが、この建物は学舎に入るための入り口であり、実際に講義を受け、学ぶことができる場所は地下にある。
切り立った崖に明かりとりの窓をとりつけて教室とする地下校舎は広く、崖から離れた場所にある温度の安定した場所では、
国の図書の殆どを集めた図書館が建てられているほどである。
この学舎が星見台が地上にあるのに対し地下にあるのはこの教育機関を知識を糧として成長する樹にたとえているからであり、
学舎では主に講義を、星見台では実践、実習を行う場としてその役目を分けている。
植物園
かつての植物園はるしにゃんにある全ての植物を集め、その植生を小規模かつ完全に再現したものであり、その存在はNWで初めて行われた函と共に明らかになった。
また、絶滅していたメガデウスネコリスの主食となる植物を多く栽培していることでも有名であった。
これの再建は採集による森へのダメージが少なくなるよう、生態系回復植物による森の再生が十分に進むのを待ってから行われ、
同時に森国の自然の回復を内外にしらしめる結果となった。
また、再建に伴い、新たな付加価値として北国、東国、南国、西国、はてない国の自然を交渉によって貰いうけ、
各国の植生を森国にいて学ぶことができる5つのゾーンが増築された。
政庁・王宮・神殿
この3つの施設の完成は、藩王の「我々の居住区を国民よりも建て直すことは許さない」との勅命に従って、
国民達の居住施設の十分な建造を待って行われた。
増築・改築した要素は特にないため、再建に関して特に記すものはなく、復興の記録には藩王の直筆で以下の一文があるのみである。
「これで居住区域から見える全ての風景はかつての姿を取り戻すことができた。」
コンサートホール
植物園に続く娯楽施設として、コンサートホールが建設された。
かつてのコンサートホールは函ゲームで一時期有名になったアイドル達のイベント会場であったが、
今回は対空防衛施設の復旧の途中、戦略上不要とされ兵器が取り付けられず土台のまま放棄された場所を改装し、娯楽施設として再利用することになった。
なお、現在は救援活動の一環として定期的にコンサートが開かれており、被災国民のストレスを和らげる働きをしている。
二つの塔
蘇る森が増加してきたある日、森の一部に唐突に影がさした。かつて破壊の前にあり、破壊によって失われていた太陽の塔と金星の塔が、忽然と蘇ったのである。
この突然の塔の復活には、復興に携わる全ての者が驚いた。PCが函を行ったわけでもなく、国民が自分の手で積み上げたわけでも、建築会社がサービスで建てたわけでもなかったからだ。
急遽重編成部隊による塔の探索が計画され、行われようとしたが、そもそも塔に至るまでもなく失敗に終わってしまった。
二つの塔に近づくためには魔法使いに属するアイドレスを着用して所定の手順を必要があり、編成されたPCに魔法使いが一人もいなかったためである。
そのため二つの塔は外部からの観察によって得る情報のみで状況を判断せざるをえなかった。
とはいえ、外部からの観察でいずれの塔の内部でも何かが活動をしている様子は見受けられず、その報告は国民達をやや安堵させるものであった。
なお、太陽の塔はその高さはおよそ60フロアあるとの推測が建てられており、
金星の塔は太陽の塔に劣る高さであるものの夕刻のある時刻に星見台から眺めると塔の頂上に宵の明星が現れ、美しい光景を見ることができることがわかった。
蘇る森と実る食糧生産地
生態系回復植物による森の再生はいまや終盤にさしかかっており、やや高地にある山々に緑が蘇るのを待つのみといっていい状況になっている。
しかし、この段階になっても絶望の荒野であった地域が再生する気配はなく、荒野であった期間が長すぎたせいではないかと言われている。
また、食糧生産地の発展も順調であり、大きな病の流行や冷害なども発生していない。
まもなく多くの実りが得られる収穫期に突入することだろう。
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