魔法弓具
Amazing trial product
魔法弓具“ネコノツメ”は、はっぷんらが発表した手甲型のマジックアイテムである。発表当初、弓とは余りにもかけ離れた姿に皆が驚きと疑いを隠せなかったが、つづく起動試験を見てまたも顔色を変えた。
これまでの弓も魔法付与によって強化が施された武具であるため、魔法の力を持つことはさほど特筆には値しない。驚異なのは、物質的な弓具に頼ることなく、魔法のみで全てを形成していることである。
既存のアイドレスの兵器の中では未婚号に近く、投射魔法に特化してその展開・発動を支援し、詠唱と射掛ける所作で魔法の矢を飛ばす。
装甲が薄く、防具としての役割を期待できない点まで、未婚号の形式にそっくりである。ただ未婚号と異なるのは、魔法が起動していない状態でも五指の運動を妨げることがないことだ。これにより、魔法弓具をつけたままでも弓を引くことができる。 また、これまでの魔法付与された弓具と同時装備する際には施術の相克が心配されたが、魔法弓具の調整によって目に付く問題も解消でき、安心して長弓・矢筒と併用することが出来る。
ネコノツメの構成素材は魔法・魔術の理論に則った厳選がされている。特にその内装は原始の魔術「類似魔術」の理論に則り、全て弓具の材料や廃棄された弓兵の装備などの生物資源で作られており、 魔法弓生成を助ける役割も持ち合わせているほか、理論上の弓として認識されることによって、これまでの弓具の施術との相克をなくす効果もある。
ここまで作りこまれているネコノツメであるが、これでもまだ完成には至らぬ試作品である。 出力は安定して「爆撃機を撃墜する」という当初の目的の達成も可能となっているが、その操作は魔法弓手として魔法弓についての学問を深く修めた者でなければ扱えぬ正確な手順と操作が求められる。 それだけでなく、装備の魔力親和性と耐久性の面では目標値をかろうじてクリアしているものの、素材が高価であるために兵装としてロールアウトするのに必須である生産性に非常に劣るのである。 1度の準備で魔法弾を1つ発射することしかできない、単純な機構でしかないことも開発側の不満点であるらしい。
これらを解決するための、さらなる研究によって完成した「魔法弓具の開発」が現場では求められている。 完成したあかつきには、魔法弓手の兵装も試作品ではない完成品へと交換されることであろう。
蛇足であるが、魔法弓具が手甲の形となっていることを受けて、弓兵達の間に一部の着用品を防具型に仕立てなおすことが流行りはじめた。 とはいえ胸当てや矢筒を改造するわけにはいかず、また弓兵特有の機動力を失うわけにはいかないので、 普段の頭環を薄い鋼と布を用いた額当てに変えるのが関の山のようだ。
以下に、現段階のスペックの公開情報を記す。
下記の公開データが不明瞭なのは、魔法弓具の性能パラメータが技術系統的に計器表示しないということもあるが、
まだ試作段階であるために情報公開を極端に制限しているためと、開発者がギャグ好きであるためだと付記しておく。
名称:
ネコノツメ 試作型 | 分類:
個人兵装型魔法兵器−魔法弓具 |
装備重量:
リンゴ4コ分…は無い | 形状:
ガントレット型 五指全てと手首までを覆い、弓手に着ける |
基本能力:
1本の魔法の矢を生成して射出する程度の能力 | 出力限界:
照明弾代わりから爆撃機が落ちるかもしれないくらいまで |
基幹魔法:
魔力集積系と魔力投射系の2系統。 | 特殊能力:
なし (試作型につき、基本性能のみ) |
注意事項:
強い衝撃を与えた場合に破損する可能性があります。 雨上がりの学生の傘とネコノツメで殴りあう・・もとい、白兵戦行為はしないでください。 |