概要
Unprecedented magic bow
魔法弓手とは魔法弓具の使い手である。正式には1つの資格であり、資格を得る基準として「魔法弓具についての造詣が深く、魔法弓具の試作品を取り扱うに足る繊細な感覚を持つ」ことが条件となっている。
一見して職業4や学者の一種にも思える条件だが、この職業は間違いなく弓兵の延長線上に存在している。この連続性と資格条件の乖離は、魔法弓具の特異性によるものだ。
魔法弓具は弓具であって弓具でない。それは王国が叡智と閃きを結集して生み出したマジックアイテムの1つである。魔法弓から放たれた光は地上から戦闘機をも射落とし、矢を越えた挙動は魔法の奇跡が及ぶ限りあらゆる敵を挫く。
そういう、伝説のような存在。
しかし「伝説のような存在」と「伝説の存在」には隔たりがある。弓でない弓矢など前代未聞であり、これまでにないものならそれは伝説の存在ではないし、前代未聞ゆえに、まだ完成していなかった。
おっと、ここで踵を返すのは早い。知恵と閃きと努力の結果、核となる術式は完成し、それを行使するプロトタイプの量産までは進んでいる。
つまり、魔法弓手とは、ありていに言えば魔法弓具のプロトタイプを扱うテストパイロットなのだ。
彼らが本物のテストパイロットと違う点は
整備士のような技術者上がりではなく現場の弓兵の中からなるものであることと
テストするのは乗り物ではなく弓兵の兵装であるということだろう。
一般の弓兵達と違うのは、
魔法弓具を形成する理論を学び、その改良法などについて現場の経験からある程度アプローチできる知識があることと
技術系統的に機器表示が不可能な魔法弓具のパラメータの変化を感じ取れるセンスがあること。
さらに、魔法に関わる品を扱う以上、魔法に対する正しい理解と心構えも当然要求される。
そして、魔法弓手はあくまで一人前の弓兵が得る資格なので、けして弓兵としての質が低くはない。
むしろ彼らは魔法弓具のテストパイロットとして弓を扱う技量に洗練された高い水準が求められている。
資格試験の要項を見れば、すぐにそのことがわかるだろう。