るしにゃん悪臭事件とその後日談
それは、その名の通り魔力を吸いこんで屁にする技術である。
この技術を持つるしねこは、魔力の濃いところでは日々の生活の一環であるかのようによくおならをし、
るしねこが過ぎ去った後では魔力の減少が観測される。
魔法にえんもゆかりもない者が見れば、ただの変わったところでよくおならをする、
おなかの調子がいまいちな猫にしか見えないことだろう。
るしねこが魔力を吸って屁にするその仕組みは、結論としてよくわかっていない。
というのも、健康診断上は他の猫や猫士と全く変わらないし、透過画像で怪しい影が見えるとか、そういったこともないのだ。
そして、多くの人間と同じようにねこも医者にかかることはいやなので、
半ば無意識に、検査中に魔力を屁に変換することはしない。
ゆえに、魔法学者も生物学者も医者も、魔力を屁に変換するプロセスを知ることはできなかった。
そのため、医学・生物学的には「よくわからないけど、病気ではなさそうだ」という結論に落ち着くこととなり、
「のどをゴロゴロと鳴らす」に並ぶ、るしねこのふしぎとして記録されるにとどまったのである。
この学問的な決定にも関わらず、ちらほらと名声の野心や好奇心にとりつかれてカイボーとうなりながらるしねこを追いかけるマッドな人もちらほらいるのだが、
そういうのをるしねこは嫌うし、嘘や甘言に騙されるほどるしねこは愚かでもない。
そういった輩は残らず二度と野心を起こさなくなるまでるしねこやるしねこ好きにボコボコにされるのだった。
今日もるしねこは、魔力のたまったところにとおりかかると、それをにおうものに変えて通過していく。
変わった習性、変わった技術だが、当のるしねこ達はいたってのんびりまったりとした日常をすごしているのだった