2種類の猫妖精
るしにゃん王国には多様な猫妖精がいます。世界忍者、弓兵、猫神、名医、などなど。
それらの職に就いて猫耳と尻尾を持つ存在は押しなべて猫妖精と呼ばれています。
現在は「猫妖精」という名前はるしねこが就く職業にしか存在しませんが、
歴史的に見ればるしにゃん王国の猫妖精という職業は大きく分けて2つの存在に分けられます。
1つは、猫士、すなわち今のるしねこそのもののことです。
るしねこは変化の術によって猫耳と尻尾をつけた森国人の姿に化けて活動しています。
参考:猫士一覧
彼らが人の姿をとる間、彼らは森国人としての諸々の権利を与えられていました。
(国民番号登録・飲酒・喫煙・人側の参政権 などなど)
ですが、彼らの本質は人間ではなく猫神族の末裔であるため、そのことを示すために職業として猫妖精を名乗っているのです。
もう1つは、皮革や布で作った作り物の猫耳と尻尾をつけた人間のことです。
古くは国民の絵姿にあるほど、るしにゃん王国の民は猫の姿を模すことが多いのです。
参考:国民一覧
その理由は様々で、猫神を信仰するがゆえであったり、たんにどこまでも猫ラブだからだったり、猫士と混じって仕事をしたいからだったり、
本人が猫だと思い込んでいるけど生物学上は人間だったり、にゃんにゃん共和国なんだから猫っぽいことしなきゃだったり、実は何も考えていなかったりします。
のん気でフリーダムな気質ゆえ、王国の一角を担う者として猫士を対等に見ていたからこそのことなのでしょう。
さて、人間と猫士の2通りの猫妖精がいたわけですが、均等に混ざって存在しているわけではありません。
歴史を紐解けば、忍者の系列に人間の、医師の系列に猫士の猫妖精がとても大きく偏っているのです。
猫妖精と忍者
るしにゃん王国の忍者は今こそ猫妖精と組み合わされているのが主流ですが、これは過去に別の職業と入れ替えられて入ったという経緯があります。
その、もともと忍者と組み合わせられていた職業は、吏族でした。
参考:森国人+吏族+忍者
忍びの技にある俊敏さや諜報能力は事務管理をするうえで非常に重宝されていたのですが、ルール改訂の折に吏族という職業は国のものから個人のものへと変化します。
机の上の戦場から退場を余儀なくされたるしにゃん王国の忍者達は、吏族の抜けた穴を補完して忍びの技を鍛えるために猫を模すことを選び、
ただの人間から、作り物の猫耳と尻尾をつけたただの人間になったのです。
参考:森国人+猫妖精2+忍者+世界忍者
当初はバトル・メードの犬耳を真似て、機械センサーを内蔵した装備として猫耳と尻尾は着用されていたのですが、森国人は機械嫌いです。
すぐに、皮革や布で型をとり、中は綿と針金の入ったただの作り物に交換されました。魔力のある低物理域なるしにゃん王国ではそのほうがよかったといえるでしょう。
獣を模して獣の力を取り入れるという考え方は原始の頃より受け継がれ、現代でもなお伝説・伝承として確立される、類似魔術の儀式の1つです。
機械を排して魔法を受け入れやすくすることで、彼らの「猫妖精」は忍びの技術の集合体として変化や幻術などの力をも組み合わせて確立されたのです。
なお、彼らの耳や尻尾は完全な作りものであって、本来の原始的な儀式魔術のように猫科の耳や尻尾、毛皮を切ってきたものではありません。
彼らにとって猫士や猫は隣人・友人であり、その身体を傷つけるという選択肢は最初から存在していないのです。
猫妖精と医師
猫妖精を持つもう一つの職業は、森国全体の主産業ともいえる、医師です。
こちらは忍者のように途中から現れたわけではなく、ターン1の建国の当初、職業の名前として猫士が使われていたころから、存在していました。
この、医師の猫妖精はまさしく猫士のことで、るしにゃん王国の医療は、猫士が支えていたのです。
参考:森国人+猫士+医師
最初に説明した、森国人としての権利が与えられる猫士とは医師の彼らのことであり、
森国人は魔法使いや忍者として命を守り、猫士は医療技術をもって命を守るという二人三脚が長く続いていました。
この関係に変化が訪れたのはターン8の頃です。後に「賢者」という職業名を与えられる素晴らしい才覚と技術を持つ人間が現れました。
彼らは作り物の耳と尻尾をつけて猫士に混じって活動する少数の人間や、あるいは猫士から医学を学び、医療技術を継承したただの人間から現れたのですが、
残念なことに猫士から賢者が現れることは一度としてありませんでした。
参考:高位森国人+賢者+医師+名医
本物の猫士が持つ感性を人間が求めたことが、当時の猫士では全く模倣できない知識を生み出したのかもしれない、という説もありますが、真実はわかりません。
わかっていることは、賢者の登場によって猫士の姿を真似なくても、人間が大手を振って医療業界に参入することができるようになったということだけです。
そしてそのたった一つの変化は、非常に大きな影響を与えました。
賢者参入当初は「数は力のアイドレス」という言葉通り、猫妖精の医師たちの優位は変わらなかったのですが、
単純に働ける数が増えたことを受けて、やがて医療関係者の数が飽和状態を迎えようとしていました。
そして賢者が猫妖精よりも非常に優秀なために、このままでは弱者が淘汰されていくのは避けられず、
大ベテランを残して自主退職やリストラの形で大量の失職者が現れるのは時間の問題だったのです。
ですが、度重なる戦災や怪物騒ぎによって負傷者が絶えず、事件が収まればベビーブームによる産婦が増加します。
さらには立地条件などからるしにゃん王国にISS本部が設置されて、るしにゃん王国がISS後援国家として機能しはじめました。
結果として医療従事者の需要は予想以上に高まることとなり、猫妖精の医師の殆どは退職することなく仕事が続けることができたのです。
猫妖精とるしねこの今後
昔は猫妖精と猫士、職業と種族呼称が入れ替わることもありましたが、
るしにゃん王国の猫士をるしねこという一種族として立脚させ、猫妖精はるしねこのことであると定義を統一するため、
森国人、高位森国人、るしにゃんの民は猫妖精を着用できなくなりました。
一方で、1種族として立脚したるしねこ達には猫妖精ハイクオリティな技法を後世のために保存する傍ら、
高位の森国人達が独占していた技法を学べる可能性が生まれます。
猫神族の末裔としての力を磨くことで猫神使いや竜猫のパートナーになることもできるかもしれませんし、
弓を持って戦線に立つこともできます。それに魔法使いの意識改善や治安維持のために警官を務めている方もいます。
賢者の技法を学び取り、人間の賢者と仲良く仕事をすることもできるでしょう。
それにるしにゃん王国の民にも、猫を愛する気持ちが失われているわけでもありません。
彼らを対等に扱う気持ちは変わらず、職場では楽しく声を交わしながら共同で仕事をなしとげていきます。
いつか猫妖精という言葉そのものが遠く離れていっても、るしにゃん王国では人間とるしねこの二人三脚の暮らしが続くことでしょう。